日本のユニフォーム好きならおそらく誰もが一度はお世話になったであろうサッカーユニフォームサイト『Football Shirts Voltage.com(サッカー各国代表&クラブユニフォーム)』を運営する小野有紀(yuukiono99)氏が、ワールドカップ大会別のベスト5ユニフォームを選出する企画。
第3回は、日本が歴史的な地元開催を果たした2002年の日韓大会!(※第2回はこちら)
5位 ウルグアイ(Tenfield ホーム)
高温多湿の日本/韓国で開かれたこの大会では、各メーカーともその対策(吸汗速乾の素材開発)に手間がかかり、デザイン的にはもっとも面白みのない大会となった。
そうしたなかで目を引いたのはこのウルグアイ代表のホームモデル。1930年第1回ワールドカップ優勝モデルを模し、襟元をレースアップした仕様となっている。優勝経験国ながら、アメリカ、フランス大会では南米予選を勝ち抜けず、12年ぶりの出場となった極東の地で、暑さ対策など考えていないような潔さに敬意を表したい。
一方でこのモデルはお騒がせな面も。
製造元は自国メーカー「Tenfield」だが、胸にメーカー名でもブランド名でもない「L-SPORTO」のロゴが入っていたため、FIFAの規約に抵触。グループリーグ2戦目以降は、当て布で隠すというワールドカップ本大会ではあるまじき珍事を演じてしまった。
4位 デンマーク(hummel ホーム)
身頃は吸汗速乾素材のため、凝った紋様など入らず、袖の「シェブロンライン」だけが目立つシンプルなデザイン。唯一、胸ゼッケンが右胸に配されていることがポイントだ。
2006年以降各国代表や各国クラブユニフォームのトレンドとなる「右胸ゼッケン」を4年も早く取り入れた革新的モデルである。この大会ではセネガルやフランスを抑えてグループリーグを首位で突破したものの、ラウンド・オブ16でイングランドに敗れ大会を去っている。
ところがこの「右胸ゼッケン」が不評だったのか、同デザインで着用された「EURO2004予選」モデルではゼッケンが胸中央に戻され、ごく平凡な仕様で戦うことになった。
デンマーク代表が、再び右胸ゼッケンモデルを着用するのは4年後のEURO2008予選モデル(adidas)まで待つことになる。
3位 イングランド(UMBRO ホーム)
出場32ヶ国中22ヶ国をadidas、NIKE、PUMAが占めたがadidas、PUMAは同一のフォーマットを多用して面白みに欠け、NIKEは蛍光色というアイデアで臨んだが評価はいま一つであった。
そんななか、伝統のメーカーUMBROはイングランド代表とアイルランド代表の地元2ヶ国をサプライした。イングランドのホームモデルは左身頃に赤のラインが縦に入るというシンプルなデザインであったが、逆に好感度の高いものとなった。
もちろん日本列島を駆け抜けた「ベッカム人気」とも無関係ではなく、アルゼンチンに対して4年前の借りを返した彼への賛辞も含め、日本代表モデルに次いで、街での着用をよく見かけた一着でもある。
ちなみに筆者はラウンド・オブ16のブラジル-ベルギー戦を神戸で観戦した際、淡路島でキャンプを張り、この試合の勝者と準々決勝で当たるイングランド代表選手団が偵察に訪れており、「生ベッカム」を見る幸運に恵まれた。
2位 スウェーデン(adidas アウェイ)
サプライヤー契約を結んだ10ヶ国全てに同一のフォーマットを提供したadidas。そのなかで衝撃を与えたのが、スウェーデン代表のアウェイモデル。
大会前にニューモデルの情報が出ておらず、それまでアウェイモデルでは比較的白が多用されていたため、無難な白モデルを予想していたが、グループリーグ初戦イングランド戦に、鮮やかなブルーのアウェイモデルを投入して、マニアの度肝を抜いた。2戦目のナイジェリア戦では全身ブルーのコーディネイトも披露している。
イングランド、アルゼンチン、ナイジェリアと同居した「死の組」を1位で突破しながら、ラウンド・オブ16で初出場セネガルに屈した。
ドイツW杯でもブルーのアウェイモデルが着用されたが、その後は紺やグレーを多用。ロシアW杯で12年ぶりにブルーモデルを復活させることとなる。
1位 イタリア(Kappa ホーム)
EURO2000以降、Kappaがイタリア代表のために開発した伸縮素材を用いた通称「ピチユニ」はその後世界的なトレンドとなっていく。
鍛えられた選手の身体によくフィットしたこのモデルはまさに「カッコイイ」の一言。そしてその「シルエット」だけを武器とし、余計な装飾を極限まで廃したデザインもKappaの意気込みを表すものであると言えよう。
ラウンド・オブ16で「疑惑の判定」により韓国に敗れたイタリア代表。スポーツに「たられば」は禁物だが、ここを突破すれば、準々決勝はスペイン代表、さらに準決勝ではドイツ代表との対戦が待っていた。
もう少し長くこのモデルで躍動するイタリア代表を見たかったと思うファンも少なくないはずだ。
メーカーシェア
2002日韓W杯出場32ヶ国のメーカーシェア
adidas(10)
ドイツ・フランス・スペイン・スウェーデン・トルコ・アルゼンチン・日本・中国・サウジアラビア・南アフリカ
NIKE(8)
ポルトガル・クロアチア・ベルギー・ロシア・ブラジル・韓国・ナイジェリア・アメリカ
PUMA(4)
ポーランド・パラグアイ・カメルーン・チュニジア
UMBRO(2)
イングランド・アイルランド
KAPPA(1)
イタリア
hummel(1)
デンマーク
Le coq(1)
セネガル
uhlsport(1)
スロベニア
Joma(1)
コスタリカ
atletica(1)
メキシコ
marathon(1)
エクアドル
TENFIELD(1)
ウルグアイ
※第4回の「2006年ドイツW杯編」は、6月7日に公開。