ローマ法王、長崎市に返書 被爆地訪問には言及なく

 長崎市は5日、田上富久市長が5月2日にバチカンでローマ法王フランシスコの一般謁見(えっけん)に参列し、松井一実広島市長との連名で手渡した被爆地訪問を要請した親書に対し、返書が届いたと発表した。「広島と長崎は世界に希望の光をもたらす」などと記されていたが、広島、長崎訪問に関する言及はなかった。
 親書では、法王が平和を訴えるため原爆投下後の長崎で撮影されたとされる写真「焼き場に立つ少年」を配布したことに感謝した。
 返書は5月11日付。広島と長崎を「暴力と戦争が引き起こす苦しみと死を思い出させる」としつつ、「立ち上がり、兄弟愛の絆を築く力が備わっていることを示す」と指摘。「原爆の惨事を生き抜いた被爆者の経験は同じような惨事を許さないように駆り立てる。両市民のために祈りをささげることを約束する」とした。
 長崎市平和推進課は「法王フランシスコから手紙が来たのは初めてで意義深い。引き続き被爆地訪問を要望していく」としている。

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