静清亜鉛、「見える化」活動新たな段階へ 管理と工程の両システム連動

  溶融亜鉛めっき加工業の静清亜鉛(本社・静岡県富士市、社長・桑原博氏)は、社内業務の「見える化」が新たな段階に入った。監視カメラによる全現場作業の可視化や日々の入出荷・生産量・不良品発生などの社内でのオープン化に加え、今年度からは事業環境や受注内容の変化に機敏に対応した経営理念の更新、管理システムと工程システムの連動などを実施。さらに透明性の高い体制を構築し、全社の生産性向上、企業体質強化につなげる。

 同社は、静岡県内最大のめっき槽を持ち、建築、道路、橋梁・土木を主体に幅広い業種向けにめっき加工する。関東・中部の中間に位置する好立地で、納期・価格を含めた品質面で顧客からの信頼も厚く、ここ数年受注量も増加している。

 森定興商、愛知亜鉛鍍金のグループ会社で、94年に静岡市から現在地に移転。加工能力は月間2千トン、従業員は47人。エリアは、静岡県全域が主体で、地区鋼材特約店との取引も多い。

 近年、主要取引先の鉄骨ファブリケーターが関東物件の対応力を高め、品質ニーズへの対応力を高めるためには既存の体制では対処しきれないと判断し、最新式のクレーンシステム(6連固定テルハ式溶融亜鉛めっき装置)を導入、5月から本稼働している。約40メートルあるクレーンガーターに搭載しているクレーン本体と駆動モーター(インバータ制御)、作業用操作パネルなどを一新したもの。

 これにより現場作業が円滑になり、生産性が3割向上。超大物製品から超小物製品までのよりスムーズな加工が可能となり、顧客からのより細かな要望にも迅速に対応できる体制が整った。付帯工事なども含めた総投資額は約1億円。

 社内の「見える化」は事業全体の活性化と効率向上を目指して数年前から継続的に推進している取り組み。監視カメラによる全現場作業の可視化、日々の入出荷、生産量、不良品発生などの見える化(社内の大型モニターにリアルタイム表示して全社員が情報を共有)を実施し、社内の意識改革、業務プロセス改革につなげている。

 今年度から「見える化」をさらにレベルアップ。今回の設備更新を機に業務の「見える化」を工程システムにも連動させ、生産効率の大幅な向上につなげた。

 さらに、事業環境の変化にともなう受注内容や数量の変化に敏速に対応するため、半期ごとに経営理念を更新し、理念を具体的な個々の業務に反映できる体制とした。これにより社員のモチベーションをさらに高め、事業の活性化と企業体質強化につなげる考えだ。

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