JFEスチール、大阪大と「協働研究所」 基礎から実用化まで溶接・接合を総合研究

 JFEスチールと大阪大学は5日、鉄鋼材料の溶接・接合分野に関する共同研究拠点を開設したと発表した。人や設備の研究資源を双方向に活用し、基礎から実用化まで溶接・接合の総合研究を行う拠点になる。自動車鋼板などの高級鋼は高強度化や高機能化に伴い溶接・接合が難しくなる傾向にある。JFEはこの分野の基礎研究で世界屈指の阪大と手を組み、ユーザーに対し高級鋼と溶接・接合法をセットで提案する取り組みを強化したい考え。

 新拠点「JFEウエルディング協働研究所」は大阪府茨木市の阪大の接合科学研究所内に4月に設置した。同日、JFEの瀬戸一洋スチール研究所長(専務)、阪大の西尾章治郎総長らが出席し現地で開所記念式典を開いた。

 式典で瀬戸氏は「世界で鉄鋼需要が増える一方、高級鋼を供給するメーカーも増えており、材料そのものの優位性は小さくなっている。グローバル市場で優位性を保つには溶接・接合技術がカギになる」と述べ、新拠点をてこに溶接・接合の技術開発を加速し世界市場での高級鋼拡販戦略に生かす考えを示した。

 新拠点の所長は田中学阪大教授、副所長はJFEの大井健次、田川哲哉の両氏が務める。研究員は20~30人、研究プロジェクトは年12~13件とし実験設備も相互利用する。未解明の現象解明や、飛散物が少ないJFE独自の溶接法「J―STAR」の高度化、摩擦撹拌接合の研究などを行う。人材育成にも取り組む。

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