金属行人(6月6日付)

 北陸にとって長年の悲願だった新幹線開業から今年ではや4年目。現在も開業前の想定を上回る利用者数を維持している。インバウンドを含め観光客が増えた金沢市内ではホテル建設ラッシュが継続中だ▼新幹線開業は北陸から首都圏への人材流出に拍車を掛けている側面もある。開業後、富山・石川から関東の大学に進学する人が増え、関西が減っている。また関東への就職率や首都圏企業からの求人数が増加傾向。一方で関東から富山や石川の大学を志望する学生数も年々増えているなど、双方向で交流が拡大している▼深刻な人手不足が続く北陸では人材の争奪が激しく、鉄鋼・非鉄金属業界も例外ではない。採用では応募の少なさや内定者の辞退が目立ち、人材確保に苦しむ鉄鋼特約店が多い。こうした中、最近では他地区の就職説明会にブースを出展する鉄鋼流通も出てきている▼営業面ではこれまで、鉄鋼商社が富山に置く支店を大阪管轄から東京管轄に代えたり、地区流通が関東圏へ営業展開を図るなど変化があった。北陸新幹線は大阪まで延伸する計画で、これまで交通の便や歴史的にも北陸に近かった関西・中京圏との結び付きが再度強化される。鉄鋼商流にさらなる変化は起こるのだろうか。

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