不二ライトメタルとNEDO、医療用マグネ新成形技術開発

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と不二ライトメタルは5日、医療機器向けマグネシウム合金部材の成形技術を開発したと発表した。マグネシウムは人体に安定的に分解・吸収される性質があり、医療機器などに用いて体内に埋め込んだ際に人体への負担が少ない。同社ではNEDOの「中堅・中小企業への橋渡し研究開発促進事業」で産業技術総合研究所と共同して医療機器にも適用可能な優れた形状精度・特性を有するマグネシウム合金部材の成形技術を確立した。

 マグネシウム合金を生体内で安定的に分解・吸収させるためには均一な肉厚で高精度に加工する必要があるが、変形しにくい素材特性からこれまで部材に仕上げる際の押出し・引き抜き加工で均一な肉厚の管を作ることは難しかった。同社では産総研の持つ加工法に関する技術を生かし、押出温度や引抜速度などの諸条件と肉厚の関係を調査。加工条件を最適化して、生体吸収されるマグネシウム製ステント向けで肉厚を精密に調整した管材の成形加工に成功した。

 併せて同社では金属組織の形成に大きな影響を与える引抜き・熱処理で最適な処理条件を調べ、管・棒・線材に高い機械的特性と分解性能を持たせるための組織制御を実現している。

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