日本大学の反則タックルを巡る問題で、関東学生アメリカンフットボール連盟がフェニックスに下した処分は「公式試合の出場資格停止(2018年シーズン終了まで)」というものだった。
ただし①原因究明とそれを踏まえての実効性のある再発防止策を策定・実施、抜本的なチーム改革・組織改革を断行する②その内容をチーム改善報告書として関東大学連盟理事会に提出する③検証委員会による確認と関東学連理事会からの承認を得るといった諸条件を満たせば、出場資格停止は解除される。
日本アメリカンフットボール協会の国吉誠会長は「この但し書きこそが重要」と言う。関東学生リーグの監督会からは「何もせずに1年たったら復帰できるのか」との批判もあるが、「何の方策も打ち出せないままに新シーズンを迎えることになれば、日本大学の学校経営はどうなのかということになる」と述べた。
処分の但し書きには「チームとして」取り組むことを要望しているが、日本大学としての取り組みが必要だということだ。
そして「万が一、対策を打ち出せないまま新シーズンを迎えることになれば、日本協会として関東学連に指導することもある」としている。
一方の日本大学は、この問題を調査するための「第三者委員会」を立ち上げたことを6月1日に発表。7月末をめどに報告書をまとめることになった。
この7月末というのが実に微妙な時期だ。関東学連によれば、リーグ戦参加の条件となる選手登録の第1次締め切りは7月上旬だ。
ただ、選手全員の写真や登録データなどが間に合わないケースがままあり、理由がはっきりしていれば7月最終週まで登録は認められる。
さらに、選手の追加登録はシーズンの最終節の試合日の前日まで可能だということだ。
公式試合の出場資格が停止中の日大フェニックスの選手登録について、関東学連のある理事は「日大に対して(登録期間の)特例措置をとるかどうかは次の理事会(6月13日)で議論することになる」と言う。
また、別の関東学連理事は「関東学連の処分は登録制限をかけていはいない」として、フェニックスの選手登録そのものは問題ないとの考えを述べた。
フェニックスの処分解除が9月上旬のリーグ戦開幕後にもあり得るのかどうかも気になるところだ。
前出の学連理事は「現状では日大(の参加)ありきでリーグ戦日程を組み、出場しなかった期間中の対戦相手は不戦勝となる」との見解を述べる。
ただし、これではフェニックスがシーズン途中でリーグ参戦した場合、実際にフェニックスと対戦するチームと不戦勝になるチーム間で不公平が生ずる。これをどう解決するかも今後の課題だ。
そもそも、リーグ戦を1試合でも「辞退」したチームは自動的に降格するというルールがある。
これはかつて下部リーグで、次戦にそなえて戦力温存の目的で試合を辞退した例があったために設けられたルールだそうだ。
もっとも、これは重大な罰則になるため連盟も運用に慎重だ。数年前にある大学が、防具が試合会場に届かず試合の辞退を余儀なくされた。
この場合は運送業者に非があると認め、連盟は通常の敗戦と同じ扱いをし、当該の大学は自動降格を免れた。
このルールがフェニックスに適用されるかも解釈が分かれる。フェニックスは「辞退」ではなく「資格停止」である。これも理事会での議論が待たれる。
前年度のチャンピオンチームが起こした、前代未聞の今回の問題。誰もが納得する解決策を導き出すのは、極めて難しいと言えそうだ。
いずれにしても、日大の今後の対応が鍵を握ることになる。 (ジャパンタイムズ運動部長=生沢浩)