卵は甘~い 肉も活用へ 「萬田黒鶏」を名物に 佐々の池田さん 普及に意欲

 「将来は佐々の名物に」-。長崎県北松佐々町野寄免の農業、池田國雄さん(68)は真っ黒いニワトリ「萬田黒鶏(まんだくろどり)」を飼育している。2年前に県内で最初に飼育を開始。現在は70羽近くを育て、卵を地元の直売所などに出荷している。「飼育する仲間を増やしたい」と意気込んでいる。
 萬田黒鶏は、鹿児島大名誉教授の萬田正治さん(76)が3年ほど前に開発した。現在は鶏卵と鶏肉は、それぞれ「専用種」とするのが主流。萬田さんは昔各家庭でみられた「庭先養鶏」の普及を目指し、卵と肉両方での活用が可能な「兼用種」として開発した。特徴的な真っ黒な体は、黒豚や黒酢といった「鹿児島の黒を好む文化」にちなんだという。
 元陸上自衛官の池田さんは退官後、タマネギなど主に野菜を育てていた。2016年2月に知人から卵を分けてもらい、ふ化させて飼育。半年ほどで卵を産むようになった。現在は約80平方メートルの鶏舎を建て、雄4羽と雌約60羽を育てている。
 餌には気を配っている。地元の飲食店から魚の頭やはらわたなど不要な部位を分けてもらい、餌に混ぜている。池田さんは「費用を抑えつつ、カルシウムなど栄養価の高いものを与えることができているのではないか」と語る。
 有精卵で、1日当たり30~40個の卵を産み、地元の佐々皿山直売所などに出荷している。6個入り380円と割高だが、卵かけご飯にすると「甘みがある」と好評という。
 ただ、1日10個ほどの日があるなど、ばらつきがあり、安定供給は厳しい状況。町内ではほかにも飼育している人がいるものの、組織的に出荷するには至っていない。池田さんは「今後は組合をつくるなどして組織化し、鶏肉も取り扱えるようにしたい。まずは高級な卵として、売り出したい」と話している。

萬田黒鶏の卵を手にする池田さん=佐々町野寄免
真っ黒な体が特徴的な萬田黒鶏=佐々町野寄免

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