【リオ・ティント ジャックCEOインタビュー】車載用電池素材に関心、「バッテリーメーカーと組む可能性も」

 リオ・ティントのジャン・セバスチャン・ジャックCEO(最高経営責任者)は6日、鉄鋼新聞などとのインタビューで、リチウムやニッケル、コバルトなど車載用電池に使われる金属素材に対する関心を示し、「自動車の電動化で当社の扱っている銅やアルミの需要も増えるが、電池素材をどう捉えていくかを考えている。電池のテクノロジーがどう進み、何の素材が使われるかについては日本企業とも話をしている」と述べた。

リオ・ティント・ジャン・セバスチャン・ジャックCEO

 社長就任以降に進めてきた事業の選択と集中で得た資金については、豪州のアムラン・プロジェクト(ボーキサイト)やモンゴルのオユトルゴイ・プロジェクト(銅)など既存アセットの競争力強化と新規事業の両方に充てるとし、「既存事業では12月に最初の製品出荷を予定するアムランへの投資が必要だ。新規事業に対しては、これまで手掛けてこなかった商品、地域の状況を分析するなどの取り組みも行っている。特に電気自動車の電池に使われる素材は注目している分野だ」と話した。

 リチウムについてはイェダー・プロジェクト(リチウム)の開発検討を進めている段階で、「現在は当社が導入を検討している新たな技術とマーケットの両面で検討を進めている」と語った。さらに「今後はさまざまなところでサプライチェーンの変化があると考えており、当社が果たす役割も変わるかもしれない。例えば当社とバッテリーメーカーが組むような可能性もゼロではない」と語った。

米「通商拡大法232条」、「早期解決を希望」

 リオ・ティントのジャン・セバスチャン・ジャックCEO(最高経営責任者)は、米国による鉄鋼やアルミニウムに対する輸入規制措置「通商拡大法232条」について「当社はカナダ・ケベック州でアルミ事業を行っているが、その多くを米国で販売しており、米国需要の3分の1に相当するアルミを当社が供給している。そのサプライチェーンは非常に効率的で、米国の消費者にとって最も競争力のあるものだ。関係者が話し合い、問題を早期に解決してもらうことが米国の消費者にとっても良いことだと思う」と述べた。

 一方で、「アルミ業界の未来は非常に明るい。生産では環境に優しいプロセスの導入が進み、製品自体も自動車の軽量化などで温室効果ガスの削減に貢献できる。当社にとってもアルミは重要な製品の一つであり続ける」と話した。

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