アサヒメッキ、ステンレス発色事業拡大 量産体制確立へ新工場建設

 金属表面処理加工業者のアサヒメッキ(本社・鳥取市、社長・木下貴啓氏)はステンレス鋼表面の発色技術を生かした事業拡大を図る。同技術はステンレスの性能に干渉することなく、製品の色調装飾性・識別性向上を高める。複雑な3次元形状でも色むらなくステンレスの発色を可能にした新技術の量産体制を整えるため、新工場建設に着手する。

 ステンレス発色技術は、同社が新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受け、産業技術総合研究所と鳥取県産業技術センターと共同開発。塗装や染色とは異なり、ステンレス表面の酸化皮膜の厚みを調整することで、光の屈折により色が変化して見えるのが特徴。色調の均一化を実現し、純粋な白と黒以外の色は、要望があればほぼ発色可能。光沢の有無、半光沢にも対応できる技術を確立した。光沢なしと半光沢は同社のみの独自技術である。

 1年半後のJIS規格化(平成30年3月、新市場創造型標準化制度採択)を目指している。

 本社工場の隣地を購入し、鉄骨造一部二階建て延べ床面積2500平方メートルの工場一棟を建設する。投資額は約11億円。研究用の試作設備しかないため、量・大きさの対応に限界があったが、新工場では量産に向けて、部材幅3メートルまでの加工が可能な新ラインを整備する。2019年6月にラインを入れて習熟を高めながら、半年間の助走期間を経て量産体制を確立する予定。ライン稼働後の初年度生産量は8千万平方メートルと試算する。

 同社は亜鉛メッキ、SUS電解研磨、アルマイトなど総合的に処理加工を行う設備を保有する山陰最大手格の金属表面処理専業者。今年設立60周年を迎えた。従業員数は61人。売上高5億円。5年後には20億円に乗せる計画。

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