【Playback】リオ・ファーディナンド、附属池田小事件を語る

本日6月8日は、附属池田小事件の発生から17年。

そこで今回は、2013年7月26日に配信した「リオ・ファーディナンド、附属池田小事件を語る」を再編集しプレイバックでお届けします。

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2013年7月、プレシーズンマッチのために来日したマンチェスター・ユナイテッド。

当時のチームには日本代表MF香川真司が所属しており、25日に行われたセレッソ大阪との一戦は2-2の引き分けに終わったものの、凱旋試合となった香川は同点ゴールをゲット。試合後にはセレッソ大阪サポーターからも大歓声が湧き、大阪の地でユナイテッドの日本ツアーは閉幕を迎えた。

この試合が行われたのは、大阪長居スタジアム。2002年の日韓ワールドカップからおよそ10年(当時)が経過し、多くの選手が初めて大阪の地に足を踏み入れた今回のツアーだったが、そんな中、あのリオ・ファーディナンドが重い口を開いた。

「随分と前にここ大阪を訪れた時、とある小学校で起きた殺傷事件が大阪中を震撼させていた。

お亡くなりになった全ての方のご冥福をお祈りしたい。いつ思い出しても悲しいことだ」

2001年6月8日、大阪府池田市で発生した小学校無差別殺傷事件についてファーディナンドは自身の思いをTwitterに投稿し、この大惨事についてコメントしている。

当時の日本はコンフェデレーションズカップの真っ最中。大雨降り注ぐ横浜で中田英寿が直接FKを叩きこみ、フランスとの決勝に日本中が湧いた翌日、その事件は起きた。

「犠牲にあった方々に献花をしたが、あれはとても辛い瞬間だった。

そして今、自分が子供を授かっていっそう、そうした事件を恐ろしく感じるんだ」

2001年当時リーズに所属していたファーディナンドは、チームメイトでもあるアラン・スミスとともに来日。翌年に迫ったワールドカップの偵察の意味合いも込め来日し、束の間の休息をここ日本で過ごした。

6月10日、日本対フランスのコンフェデレーションズカップ決勝戦。横浜でこの試合を観戦していたファーディナンドは、試合前の黙祷で今回の事件を知る。

そしてこの翌日、当初予定していた京都への観光をキャンセルし、急遽付属池田小学校へと足を運び、校門前に献花をしたという。この休暇にはファーディナンドの母親も同行していており、母親は京都観光を心から楽しみにしていたそうだが、ファーディナンドは「どうしてもあの小学校に行きたいんだ」と告げ、これに母親もこれに同調した。

一部の情報によれば、ファーディナンド一行は即座に地図を買い、小学校近くの駅前で抱えきれないほどの花束を買ったとの報道がある。

朝日新聞の取材に対しファーディナンドは以下のように答えている。

「国籍も肌の色も超え、1人の人間として哀悼の意を捧げたかった」

ファーディナンドはこの7年後、2008年のクラブワールドカップで来日をはたした際も付属池田小学校に花束を贈っており、そこからさらに時を経て、今回再来日することとなった。

リオ・ファーディナンドという男の魅力は、ピッチ上以外でも自らの意思を主張できるところにあるように感じる。ファーディナンドのツイートは、きわめて率直でストレートだ。人種差別問題には勇敢に立ち向かい、協会の不正にも一刀両断。そんなファーディナンドの芯の強さを、今回のツイートからも確認することができる。

ちなみに、マンチェスター・ユナイテッドのレジェンド、 アンディ・コールも今回のツアーに帯同しているようで、東日本大震災の被災地を訪れている。

今日の長居スタジアムでも、ファーディナンドの存在感は圧倒的なものがあった。そして彼には、ピッチ外でも人々に勇気を与えることのできるメンタリティも備わっている。親日家としても有名で、中でもヤマハ社のバイクがお気に入りだというリオ・ファーディナンド。

この偉大な男が近い将来、再び来日してくれることを心の底から期待したい。

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