華麗なプレースタイルでファンを魅了した。1970年代後半、関学大のエースWRとして活躍した志浦康之さんは、他校を含め当時の選手にとっては憧れの存在だった。
流れるような走りと抜群のテクニック、ステップワークで相手DBを抜き去る。
「自分をマークするDBが誰でも関係ない。QBと練習してきたパスコースを忠実に守るだけ」
そんな言葉が少しもキザに聞こえない2年先輩のスーパースターとは甲子園ボウル、オールスター戦で何度となく対戦したが、全く歯が立たなかった。
その志浦さんから、7月に開催される「KG東京フェスタ2018」のファシリテーターを依頼されたのは、今年に入ってすぐだった。
当日は、関学大を卒業後に様々な分野で活躍するOG、OBをパネリストに迎えた講演や座談会が予定されている。
日大と関学大の定期戦で起きた「悪質な危険タックル問題」から1カ月が過ぎたが、事態は収束に向かっているとは言いがたい。
長い年月をかけて築いてきた信頼関係を、残念な形で傷つけられながら、ライバルを気遣い救いの手を差し伸べる「青」に対し、「赤」の対応は今もなお誠実さを欠いていると言わざるを得ないからだ。
果たして自分が適任なのか。定期戦の後、ファシリテーターを辞退する旨を伝えたところ、志浦さんはこう言ってくれた。
「こういう時だからこそ、あなたにやってほしい」
「Mastery for Service」
「奉仕のための練達」と和訳される関西学院のスクールモットーを胸に、感謝の気持ちを込めて大役を果たしたいと思っている。(47NEWS編集部=宍戸博昭)