「顔ハメ」で旅行を楽しく “顔ハメ看板ニスト”塩谷さん(東京在住)講演 制作背景考えながら

 看板の顔部分がくりぬかれ、観光地や店舗、駅前などで独特な存在感を示す「顔ハメ看板」。会社員で、自称「顔ハメ看板ニスト」の塩谷朋之さん(35)=東京都在住=は、国内外で約3400枚の看板で写真を撮り続けてきた。長崎市内であった講演で「作り手の制作背景を考えながらはまると、さらに楽しい」と魅力を語った。
 塩谷さんが本格的に顔ハメ看板のとりこになったのは2008年ごろ。旅行先で、使われなくなった看板が気になり、置いていた直売所の店員に声を掛けると、掃除して顔がはまるようにしてくれた。「楽しんでほしい」というおもてなしの気持ちがうれしくて、それからはネットなどで調べて足を運ぶようになった。15年には看板を集めた本を出版したほどだ。
 塩谷さんは流儀がある。撮影の時は、眼鏡を外し、表情が出ないようにする。自分の個性よりも看板が表現している主人公やキャラクターなどの一部になりきるためだ。塩谷さんは「顔以外にも手を出す穴がある看板など登場し、種類が豊富。顔がいくつあっても足りない」と語った。
 講演会は市民団体「長崎都市・景観研究所/null(ヌル)」と文具店「てがみ屋」(大浦町)の共催。仕事で長崎を訪れる塩谷さんに合わせて4日夜、開いた。

自称「顔ハメ看板ニスト」の塩谷さんがお勧めする長崎の樺島灯台(左)と長崎銘菓「クルス」の顔ハメ看板(写真はコラージュ、塩谷さん提供)

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