WRC:トヨタのタナク、総合3番手快走も2日目の最終SSで冷却系を破損しリタイア

 3台のトヨタ・ヤリスWRCでWRC世界ラリー選手権に挑んでいるTOYOTA GAZOO Racing WRT。6月8日(金)に行われた第7戦イタリアの競技2日目では、エースのヤリマティ・ラトバラが総合3番手につけた一方、オット・タナクは2日目最終のSS9でリタイアした。

 ラリー・イタリア・サルディニアの2日目は、近年まれに見る雨まじりとなった。

 この気象条件に恵まれたのがランキング3位のタナク。本来であれば序盤出走で路面コンディションが悪いなかを走行するはずだったが、ウエットとドライが入り混じる路面でステージ最速タイムを記録する好走をみせた。

オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)

 午前中に行われたSS5を終えた時点でタナクはトップと16.4秒差の総合3番手につける。

 午後は一時的に降った雨の影響で路面の一部が泥状に変化し、滑りやすいコンディションに変化。

 タナクは、この難しい状況でもポジションをキープしていたが、この日最終のSS9にあるジャンピングスポットを通過して着地する際、マシンフロントを地面に激しくヒット。

ラジエーター周りをチェックするオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)

 この衝撃でラジエーターなと冷却系にダメージを負ってしまい走行を断念せざるを得なかった。

 なお、チームはマシンコンディションの確認作業を進めており、競技3日目に出走可能か精査を進めている。

 タナクに代わって総合3番手に浮上したラトバラは、午前中の走行を総合6番手で終えると、滑りやすくなった午後のセッションで着実にポジションアップ。SS9でステージトップタイムを記録して総合3番手に浮上した。

 若手のエサペッカ・ラッピも、SS2でスローパンクチャーに見舞われたものの、この難しいコンディションを大きなミスをすることなく走破。総合首位と41.6秒差、ラトバラと4.4秒差の総合4番手で2日目を終えている。

 チーム代表のトミ・マキネンは「とにかく、今日は非常に難しい1日だった」と競技2日目を総括する。

「オットのクルマに何が起こったのか、まだ正確には分からない。明日再出走できるかどうかを判断するため、チームは現在クルマを調べている。選手権争いのためオットは今回のラリーで良い結果を残そうとしていたから、本当に残念だ」

「今日の路面は多くの泥によってグリップ力があまり得られない状況だった。そのような路面でクルマがどう動くのか情報が不足していたこともあり、今朝のセットアップはベストとはいえないものになってしまった」

「しかし、午後のステージに入り路面が乾いていくと、ヤリ-マティとエサペッカはともにスピードアップを果たしたんだ。彼らはどちらも上位につけているから、明日はきっと良い戦いをしてくれるだろう」

 優勝圏内につけていたタナクは「一体何が起こったのか説明することが難しく、自分でも本当に驚いている」とアクシデントの状況をふり返った。

「SS9のコースは昨日のシェイクダウンと午前中のSSでも走行していて、今回が4回目の走行だった。つねに同じアプローチで走っていたよ」

「非常に厳しい状況だし、大きな後退だと感じている。正直なところクルマのフィーリングは完璧ではなかったけど、それでも特に大きな問題なく走っていたし、トップ争いもしていたから、このような問題によってデイ2からリタイアすることになり本当に残念だ」

 トヨタ陣営のトップにつけたラトバラは「今朝の2本目のSSは少し慎重に走りすぎたと思うが、その後リズムをつかみスピードを上げることができた。明日はお気に入りのステージも走るけど、何よりも大切なのはミスをしないこと」とコメント。

 ラッピも「明日に向けてさらにグリップが得られるようにクルマを調整し、表彰台を目指して戦う」と意気込みを示している。

 9日(土)の競技3日目はサービスパークが置かれるサルディニア島・アルゲーロを中心に、SS10〜16の7SSで争われる。7ステージ合計の走行距離は146.14km、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は629.53kmだ。

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