マネが二人いれば…セネガル代表はいかにして日本に勝ち、グループを突破できるか

日本代表チームがスイスとの親善試合を行った9日、時を同じくして同グループのセネガル代表がクロアチアと戦った。

もちろんセネガルとしては、同じ欧州ということで「仮想ポーランド」といえる相手だ。

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クロアチアのセンターハーフには世界的な選手がいるため、ビルドアップ力に差があるとはいえ、タイプとしてはそれほどかけ離れたものではない。

今のセネガルが、ヨーロッパの戦術を使うチームを相手にどのようなサッカーができるのか…。

結果は2-1でクロアチアの勝利だった。

48分に決めたセネガルの先制点は、低い位置でボールを持ったMFアルフレド・エンディアイが一発で裏にボールを送り、右サイドからイスマイラ・サールが飛び出して決めたものだった。

アフリカの国は総じて調子の振れ幅が大きく、ダメなときは全く別のチームになってしまうことがある。

セネガルもその傾向はあるが、今回のチームを安定させているのがサディオ・マネだ。

彼がまずアクセントをつけることで、相手の守備を後手に回らせ、周りの選手が狙えるポイントを作り出していく。だからチーム全体の動きが止まってしまうことがない。

ただ、一つ気になるのは「サディオ・マネは一人しかいない」という点だ。

・左サイドで使えば守備もできるウイングとなるが、攻撃では縦に仕掛けるだけになりがち

・トップ下で使えば守備もやってくれてボールを収められるのだが、ゴールから遠ざかってしまう

・かといってトップで使うと、余りまくっている前線がさらにダブつく

どこで使ってもチームを生かせるアクセントになるが、マネ自身の能力を100%発揮させるに至らないというのがジレンマだ。

マネが二人いれば、このセネガル代表はワールドクラスになる気がするのだが…。あるいは、彼を真似できる選手が出てくるかだ…と言いたくなってしまうところをぐっと我慢したい。

マネを最大限に生かせない要因はボランチの性格にあった。

この試合ではアルフレド・エンディアイとイドリサ・グエイが組んでおり、本番でも使われる可能性があるコンビだ。

ただ、この二人はパス回しを加速させられるタイプではない。ショートで早くサイドを変えていくパターンはないので、一度外に運んだら縦に行くしかない状況が多くなる。

マネを最大限に生かすためのサポートは、チームの構成上望めない。

ただ、今回の先制点のパターンは使えるポイントだ。

前線の個の能力は高く、マネがいるため常に怖さがある。前線が警戒されてエンディアイやクリバリが開けば、一発で裏を突くボールが出せる。

これがセネガルの「勝ちパターン」になる可能性が感じられる。ポーランドも、そして日本も、最終ラインは決して強くはない。そこで単純に勝負させれば…。

セネガルが決勝トーナメントに進むためには、守ってカウンターだけでは難しい。アフリカ予選ほどボールを簡単に失ってはくれない相手だ。

クロアチア相手にあまり前線からプレスはかけなかった。少なくともポーランド相手には「弱者のサッカー」をやろうとするだろう。

マネという傑出した選手はどうあっても100%生かせないが、「脅し」として使えば、勝手に相手が崩れてくれるかもしれない。きっとそれが、セネガルを決勝トーナメントに導く鍵になるだろう。

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