「のげやまくん」絵本に 動物園の動物も登場

 横浜市中区と西区にまたがる野毛山周辺のご当地キャラクター「のげやまくん」が絵本になって登場した。2011年6月に市の公共掲示板に登場して一躍、地元の人気者となったが、最近は掲示板の撤去が進んだことから“生息地”が縮小。7歳になるのを機に“出没”の場を子ども部屋の本棚や枕元にも広げることになった。

 のげやまくんは、頭に「の」の字を載せている愛くるしい表情のキャラクター。友人の「あーあくん」とともに季節のあいさつや野毛をPRする張り紙が話題を呼んだ。会員制交流サイト(SNS)効果もあってファンが急増している。

 桜木町駅前を皮切りに、最大で約70カ所の公共掲示板「まちの広告板」に姿を見せていたが、市が老朽化を理由に撤去を進めたことで現在は約40カ所に減少。野毛山周辺の掲示板もなくなったため、のげやまくんを地元から応援しようと、周辺の文化施設や文化人らが動き始めた。

 絵本は、地域情報誌「はま太郎」を発行する地元出版社「星羊社」(同市中区)が提案。のげやまくんがはま太郎に登場した経緯があり、企画の立案から1年がかりで実現させた。

 絵本「のげやまくんとくま」は、迷子になったクマの縫いぐるみと横浜の街を巡って持ち主のえりちゃんを捜すストーリー。野毛山動物園の動物を参考にしたラクダやジャガー、ニューカレドニア固有の鳥カグーなどが描かれている。

 作者はキャラの世界観を守るため、著者名をあえて空欄にした。作者は神奈川新聞社の取材に「絵本には亡くなってしまった野毛山動物園の動物たちも登場する。親子で読んでもらい、野毛山に足を運んでほしい」と話す。売り上げの一部は同動物園に寄付する。

 A5変型判。1200円(税込み)で千冊限定。有隣堂伊勢佐木町本店などの書店で扱う。問い合わせは、星羊社電話045(315)6416。

野毛山動物園の動物たちが描かれた絵本「のげやまくんとくま」

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