大谷は手術が必要か? MLB球団医師補佐が見解「今年であっても驚かない」

エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

メジャー投手の25%以上がトミー・ジョン手術を受ける

 右肘内側側副靱帯の損傷により、10日間の故障者リスト(DL)入りしたエンゼルス大谷翔平投手。7日(日本時間8日)にロサンゼルスで多血小板血漿(PRP)注射と幹細胞注射を受けた右腕は、当面はノースロー調整を進め、6月末にも再検査を受ける予定だ。開幕以来、投打にわたる二刀流の活躍で全米を沸かせていただけに、長期の離脱は大きな衝撃を与えている。

 大谷の怪我はどのくらい深刻なのかは、誰もが気になるところ。米経済誌「フォーブス」では、メッツでアシスタント・チームドクターを務めるジョシュア・ダインズ医師に解説を依頼。ダインズ医師は「いずれはトミー・ジョン手術が必要になる可能性は高い。公正を期すために加えると、手術は今年ではないかもしれないが、今年であっても驚きはしない」という見解を示した。

 ニューヨークにあるホスピタル・フォー・スペシャル・サージェリーに務めるダインズ医師は、内側側副靱帯(UCL)は肘にある主要な靱帯で、投球動作の中で最もストレスのかかる部位だとしている。95マイル(約153キロ)以上を投げる剛腕が増えた近年は「UCLの怪我が驚くほど多い」とし、メジャー投手の25%以上がトミー・ジョン手術を受けていることは驚きではないとも指摘した。

 ダインズ医師は、現時点で投手全員を対象にMRI検査を行えば、程度の差はあれど、大半の投手が靱帯に損傷を持つと説明。大谷が持つグレード2の損傷は「靱帯が部分的に断裂していることを示唆している」と指摘し、「現時点でエンゼルスとオオタニは保存療法と生物製剤注射による処置を選び、手術を避けられるように願っている」とした。記事によれば、PRP注射を含む保存療法が部分断裂したUCL治療に対する効果は、例は少ないが40-65%だという。

 昨年10月にはグレード1の損傷と診断され、予防策の意味も含めてPRP注射を受けていたが、約7か月後には患部はグレード2の損傷に悪化していた。ダインズ医師は「残念ながら、昨年からの怪我の進行速度と彼の若さ、剛腕であることを鑑みると、いずれはトミー・ジョン手術が必要になる可能性は高い」という見解を示し、「現時点では、最低3週間は戦列を離れ、その時点で再検査を受ける予定だが、長期的予後は明らかではない」と締めくくった。

 先日受けたPRP注射と幹細胞注射でどこまで回復するのか。今は3週間後にあたる6月下旬の再検査結果を待つしかないのかもしれない。

(Full-Count編集部)

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