カネミ油症50年 半世紀続く「人生被害」 MSW谷尾さん 講座で実相伝える 五島

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 カネミ油症事件の被害の実相や教訓を伝える連続講座の第2回が9日、五島市福江総合福祉保健センターであった。講演した市内の医療ソーシャルワーカー(MSW)、谷尾恵子さん(54)は、事件発覚から50年がたっても続く油症の身体的、精神的苦しみを「人生被害」と表現。「市民が安全と信じたカネミ油を食べ、被害に遭った。特に母親たちは家族に食べさせてしまった自分を責め続けている」と述べた。
 谷尾さんは2008年、九州大学病院油症ダイオキシン研究診療センターが配置するMSWとして地元採用され、多くの被害者の相談に応じてきた。
 油症の原因物質ポリ塩化ビフェニール(PCB)やダイオキシン類は、頭痛、内臓疾患など人体に多様な影響を及ぼすが、症状の現れ方はさまざま。谷尾さんは「吹き出物など目立った症状がなかったため検診を受けず、未認定のまま考えられないような痛みに耐えている人もいる。被害者には安心して医療支援を受ける権利がある」と強調した。
 また、差別や偏見を恐れ助けを求められない被害者の存在を指摘。「私たちが苦しみを理解し、被害者が被害者だと言える社会をつくることが大切」と語った。
 受講した市立福江中1年の山田光祐君(12)は「家族に油を食べさせた母親はつらいと思う」と話した。
 カネミ油症事件発生50年事業実行委員会が主催し、市民約30人が参加。次回は7月21日午後1時半、同センターで、旭梶山英臣カネミ油症被害者五島市の会会長と、発生当時に診療所で看護に奔走した女性が体験を話す。

油症被害者の苦しみや、ダイオキシンによる健康被害などについて話す谷尾さん=五島市三尾野1丁目、市福江総合福祉保健センター