資生堂、持続可能な包装を推進する国際枠組みに参加

資生堂は5月21日、仏ロレアルと環境サステナビリティの大手コンサルタント「クアンティス」(スイス)が共同で立ち上げた枠組み「化粧品の持続可能なパッケージングへの取り組み(SPICE)」に参加することを発表した。SPICEには、すでにシャネルやロクシタン、エイボン・プロダクツなど化粧品の製造・販売に関わる世界の有力な12社・団体が参加。この背景には、製品の環境負荷に対する消費者や投資家などの世界的な関心の高まりがある。(オルタナ編集部=小松遥香)

SPICE(the Sustainable Packaging Initiative for Cosmetics)は、化粧品業界が協働し、持続可能なパッケージの開発を進め、化粧品の環境負荷の低減を目指すために立ち上げられたイニシアティブ。参加するのは、資生堂のほかにロレアル、エイボン・プロダクツ、シャネル、クラランス・グループ、コティ、ロクシタン、LVMH、シスレー、クアンティス、コスメティックバレー(フランスの化粧品産業集積地)、FEBEA(フランス化粧品・トイレタリー企業連合)の12社・団体。

有力企業らが協働する背景には、製品が環境に与える影響について消費者や投資家などステークホルダーの間で関心が高まり、環境負荷を低減するための目標達成のための計画、現状や評価方法の開示が求められてきていることがある。しかし一方で、化粧品業界は製品の環境への影響を測定方法に関して課題を抱えているため、各社は協働することで課題を解決したい狙い。

資生堂コーポレートコミュニケーション本部広報部の後藤奈緒美さんは、「こうした関心が特に欧州域内で高まっており、化粧品業界でもどのように環境問題に取り組んでいくかということについて、統一の見解、ゴールが必要になってきている。業界として共通のルール・指標を設け、サステナブルデザインを進めていくことの重要性に共感して参加した」と話した。

参加企業・団体は、クアンティスの指導を受け、環境パフォーマンス(対策・成果)の向上を図ることを目指し、パッケージのバリューチェーン全体にわたって協働していく。ワーキングセッションを実施し、体験や知識を共有して開発につなげ、化粧品業界全体でパッケージにおけるサステナビリティへの取り組みを強化するという。

具体的には、「確立した方法論に基づく、持続可能なパッケージングに関するポリシーの作成、指導」「客観性のあるエコデザイン判断基準に基づくパッケージング技術革新の推進」「消費者の期待に応えるため、製品の環境パフォーマンスのさらなる明確化とコミュニケーション改善」の3つに取り組む。さらに、リサイクル資材やバイオプラスチック、3次包装、配送、再利用、再装填、詰め替えパッケージと回収プログラムなどについても調査を進める。

化粧品の環境負荷への関心は、欧州や米国の一部で高まっているという。

資生堂は、詰め替え用製品や外箱の紙化など、日本の化粧品業界が推進してきた環境に配慮した技術を適切に評価する手法を開発し、同技術を使用した製品を奨励する新しい枠組みの構築を目指したいとする。

同社は2010年、化粧品ブランド「エリクシール」の一部商品のパッケージをプラスチック製品から紙箱に切り替え、1年にプラスチック使用量を約90トン削減した。2012年には、同ブランドの化粧品などの詰め替え用製品を発売し、廃棄プラスチックを本題重量比野約85%削減することができたという。同社は現在、700以上の製品に詰め替え用製品を展開しており、同社の公式Youtubeで動画「『レフィル数え歌』篇」も紹介している。

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