金属行人(6月11日付)

 タレントのローラさんが、環境問題について関心を高めていると話題になっている。天然ボケキャラを売りとしていた彼女が、所属事務所とのトラブル収束とともに「社会派へ転身か」と注目されているわけだが、その内容には頷けるものがある▼彼女が指摘しているのはプラスチックによる汚染問題。廃棄されたペットボトルなどは腐食せず山村や海洋にゴミとして残ったまま。ローラさんは「2050年までに海にいる魚たちよりプラスチックの方が多くなる」とし、使い捨てプラスチックの販売を禁止する英国のような取り組みが広がるよう訴えている▼廃プラの問題が深刻化しているのは理由がある。中国が今年から廃プラの輸入規制を始め、世界のリサイクル構造が崩れてしまった。行き場を失った廃プラの投棄が増え、環境問題が顕在化してきたという▼話題の電気自動車でも、軽量化のため炭素繊維を車体に使用した場合、廃車時に生じるゴミをどうするのか。さまざまな金属や樹脂素材はあるが、当たり前のようにリサイクルされている鋼材の優位性や魅力は案外と知られていないのかもしれない。新日鉄住金では、こうしたLCA(ライフサイクルアセスメント)の観点でPR活動を始めている。ローラさんも「オッケー」だろうか。

© 株式会社鉄鋼新聞社