地域猫トラブル減らせ 川崎市がサポーター制導入へ

 飼い主のいない猫に起因するトラブルを減らし、適正な管理を住民の協力で進める「地域猫活動」について、川崎市は今夏にもサポーター登録制度を導入する。他自治体の事例を参考にしつつ、地域猫の頭数を調査・把握し、適切な餌やりの助言や不妊去勢手術のための捕獲も進める。7月に市民向けの説明会を開き、8月からの運用を目指す。

 地域猫活動は横浜市でノウハウが確立され、全国に広がった。川崎市は2005年にガイドラインを策定し、普及啓発に努めているほか、不妊去勢手術の補助金などを拡充。ただ、餌を与えるだけの住民とのトラブルが起きたり、手術が行き届かず子猫が徐々に増えたりし、思うような結果が得られていないのが現状という。置き餌による不衛生な状態や、ふん尿被害などを指摘する苦情相談も毎年約2千件程度寄せられている。

 こうした状態を改善しよと、市は他都市の取り組みを視察するなど調査研究を進めた。東京都練馬区では「地域猫活動」のサポーター登録制度を始めたところ、10年間で約100グループの登録があり、苦情件数も減るなど成果を上げていることを知った。市は16年から練馬区の職員やボランティアを招き、市民向けセミナーを開催。サポーター登録制度の準備を進めてきた。

 サポーター登録はグループ単位を想定している。市各区の衛生課で説明を受け、担当地域の猫の頭数などを把握。その後、町内会長らに活動内容を説明した上でサポーター登録を行う。

 実際に活動を始める前にあらためて地域住民に周知し、市に捕獲器を借りて手術に必要な捕獲活動を行う。また、餌やりをする住民に置き餌をせず、決まった時間に把握している猫にだけ与えるなどの助言をする。

 市は従来の1匹当たり雄2千円、雌3千円の不妊去勢手術費の補助を継続するが、登録サポーターには雄4千円、雌6千円を補助する。また、19年2月に中原区上平間に移転する市動物愛護センターでは、サポーターが持ち込んだ猫については無料で手術を行う。

 市生活衛生課は「当初は各区の数カ所の地域で活動が始まり、毎年増えていくようにしたい」としている。7月22日に市民向けの説明会を高津区役所で開催する。

昨年2月に市が開催した「地域猫活動」のセミナー。東京都練馬区のサポーター制度が紹介された =麻生区役所

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