菓子店再建、親子の居場所に 西原村のパティシエ・福山さん

「AmeYa」を経営する福山綾さん。被災した店舗を移転再開し、1年が経過した。売り上げは伸びているという=西原村

 ハートや渦巻き型のカラフルなあめ、焼き菓子が並ぶ西原村の「AmeYa(あめや)」は、同村出身のパティシエ福山綾さん(29)のこだわりが詰まった菓子専門店だ。俵山トンネル近くにあった最初の店は熊本地震の本震で被災し閉店。同村小森の県道沿いに自宅兼店舗を建て、1年前に営業を再開した。1児の母である福山さんの目標は、子育て世代が気軽に立ち寄れる“居場所”のような店づくりだ。

 「専門学校時代のパティシエの仲間が、出産や子育てを機に仕事を辞めていった。子育てをしながら仕事を続けるには自分で店を持つしかない」

 福岡市の菓子専門学校を卒業後、ケーキ店での修業を経て26歳で独立。店の場所として選んだのが、幼い頃から慣れ親しんだ西原村だった。「子育てしながら働くなら、大好きな自然と景色が広がる西原村しか考えられなかった。自分がお店を開くことで、村外に出た友人や同級生たちが集まれる場所にもしたかった」

 店舗につながる県道が本震で寸断され、店の状況を確認できたのは1週間後。間借りしていた店は地盤に亀裂が入り、営業を続けることはできなかった。

 「いずれは、西原村で再びお店を開きたい。営業を再開するなら、もともとやりたかった焼き菓子も作れる環境を整え、挑戦できれば」。1年の休業を決意し、土地探しから始めた。

 見た目がかわいいだけでなく、味にもこだわった手作りのあめは、ほんのりとした自然な甘さが特徴だ。新しい店は20平方メートルにも満たないが、15種類のあめのほか、10種類の焼き菓子を販売。バースデーケーキの注文も受け付けており、好評だという。現在は、キャンディーパウダーを振り掛けたかき氷も販売している。

 「お客さんの6割は村内で、地震前より売り上げは伸びている。将来は駐車場の敷地を利用してイートインスペースやカフェみたいなものも作りたい。小さい子どもが遊び回れる空間にできれば」

 長男は今月で2歳の誕生日を迎える。成長の歩みに合わせるように、夢も膨らむ。(田端美華)

(2018年6月12日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

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