大同特殊鋼、中国市場で偽装品対策 金型用鋼取引履歴管理システム導入、「NAK80」対象に運用開始

 大同特殊鋼は11日、中国市場で「金型用鋼材トレーサビリティシステム」を同日から本格稼働したと発表した。中国市場のプラスチック型用鋼で同社独自ブランド品の偽装品が散見され、顧客から正規品を確実に入手したいとの問い合わせが多数寄せられていることに対応する。

 凸版印刷の統合ID認証プラットフォーム「ID―NEX」の技術を活用し、最適なシステムを共同開発。偽装品の流通量が多い「NAK80」を対象に6社の現地一次流通とシステム運用を始めた。9月上旬までに8社に拡大する。

 中国での偽装品混入は深刻な問題だ。NAK80は日本のプラスチック金型用鋼のトップブランドで、アジアでも知名度が高い。類似鋼種を製造する中国メーカーは独自ブランドで販売するが、流通市場で「NAK80」と偽った製品が堂々と販売される。顧客から照会があれば大同特殊鋼や流通は製品情報を確認できるが、詳細把握は容易ではない。

 新システムでは大同特殊鋼が発行する販売証明書IDを活用し、ミルシートの内容や取引履歴を確認でき、顧客自身が容易に真偽判定を行える。システム導入により、中国市場で販売される「NAK80」のほぼ全量で真偽判定が容易になる。正規品の小売りを行う二次店の信頼性向上や販売支援にもつなげる。

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