日本のユニフォーム好きならおそらく誰もが一度はお世話になったであろうサッカーユニフォームサイト『Football Shirts Voltage.com(サッカー各国代表&クラブユニフォーム)』を運営する小野有紀(yuukiono99)氏が、ワールドカップ大会別のベスト5ユニフォームを選出する企画。
第6回は、2014年のブラジル大会!(※第5回はこちら)
5位:ガーナ (PUMA ホーム)
カメルーン、コートジボワールと共にPUMAアフリカ戦略の屋台骨を背負うガーナ代表。この大会もPUMAは得意の民族紋様を打ち出してきたが、特にインパクトが強かったのが、このガーナ代表のホームモデル。
今までは、白×ブラックスターということで、あまり差別化が出せないデザインだったが、今回は襟元と袖口を黒で切替えてその上に色鮮やかな紋様を入れる手法を用いた。その分、身頃はまっさらな白でブラックスターのモチーフも入っていない。
赤のアウェイモデルは、その紋様をシャドーで身頃全体に入れるという仕様。いずれも相当タイトフィットなシルエットで、その鮮やかな色合いと共に、ガーナ代表の鍛え上げられた身体に実に似合っていた。
残念ながらグループ最下位で大会を去ることになったが、ブラジルの地に鮮やかな印象を残していったのである。
4位:ポルトガル (NIKE ホーム)
フットボールキットの場合、代表チームは2年ごと、クラブチームは1年ごとにニューモデルがリリースされるが、そこには大きなデザイントレンドがある。
1990年代の過剰デザイン、2000年代のシンプルデザインを経て、2010年代は過去の栄光モデルへの回帰や、より細かくて凝った表面効果のデザインに振れていくのだが、その流れのなかでこの大会以降グラデーションモデルが一気に増えていく。
グラデーションの表現もドットモチーフやパネル仕様など多様だが、ポルトガル代表のホームモデルはボーダーによるもの。赤と深紅の太さと間隔によって見事なグラデーションを作っている。
2004年、自国開催のEURO2004決勝で伏兵ギリシャに足下をすくわれ、勝負弱さのイメージが強くなってしまったポルトガル代表だが、2006ドイツW杯4位、EURO2008ベスト8、2010南アフリカW杯ベスト16、EURO2012ベスト4と実績を残してきた。
ただ、この大会では初戦でドイツに大敗したのが響いてグループリーグ敗退の憂き目を見た。クリスティアーノ・ロナウドの歓喜は2年後のEURO2016まで待つことになるのである。
3位:アルゼンチン (adidas アウェイ)
ホームモデルはセレステ・イ・ブランコ(水色/白)で有名だが、アウェイモデルも毎回スタイリッシュな仕上がりを見せるアルゼンチン代表。
ブラジル大会用アウェイモデルはネイビーをベースに、バイアスに入れたストライプの強弱でグラデーションを作ったブルーのパネルを配したデザイン。この大会以降急速に増えていく「遠目ではスッキリ、近くで見ると凝った仕様」となっている。また協会エンブレム、adidasパフォーマンスロゴ、胸ゼッケンをゴールドで統一し、高級感を持たせたている。
反対側の準決勝での「ミネイロンの悲劇」により大会全体のボルテージが一気に冷めていったなか、ホーム南米でありながら、決勝ではドイツに「挑む」形となったアルゼンチン代表。準決勝までの6試合をすべてホームモデルで通し接戦を勝ち抜いてきたが、この決勝で初めてアウェイモデルを投入。行き詰まる熱戦は延長でのゲッツェの一撃で決着し、準優勝に終わった。
この後アルゼンチンはコパ・アメリカ2015、コパ・アメリカ・センテナリオ2016でも準優勝に終わり、メッシは悲嘆に暮れるのである。
2位:フランス (NIKE ホーム)
2011年、40年に及び結束を誇ってきたadidasと袂を分かち、NIKEと新たな契約を結んだフランス代表。以降、かつての明るい青ではなく抑えた色めのブルーを使っており、逆にそれがファッション大国フランスらしさを醸し出しているとも言える。
ブラジルW杯モデルはそのNIKEの3代目モデルとなり、フランス南部の都市ニーム(Nîmes)をその名の由来とするデニム素材にインスピレーションを得たデザインと言われる。
大器ポグバはこの時まだ21歳。前年のU-20W杯では主将を務め、優勝に貢献。フル代表としてはブラジルW杯ベスト8、EURO2016準優勝とまさにNIKEフランスのシンボルとも言える存在である。
20年ぶりの世界制覇を目指すロシア大会モデルは5代目モデルとなり、変わらずスタイリッシュな印象を保っている。
1位:ドイツ(adidas ホーム)
ヨーロッパの強豪国(オランダ・ポルトガル・フランス・イングランド)が次々とキットサプライヤーをNIKEに鞍替えするなか、自国メーカーadidasとの絆を守るドイツ代表。モデルチェンジごとにオリジナルのデザインを採用し、高い人気を誇っている。
ブラジルW杯モデルは胸にV字型のグラデーションパネルを配し、さらにその中に細かいラインを入れて立体的に見せるという凝った仕様になっている。
アウェイモデルは赤/黒のボーダーパネル。このモデルを着用した準決勝ではホスト国ブラジルを7-1、ホームモデルを着用した決勝ではアルゼンチンを1-0で葬り、南米で行われたワールドカップで大陸2強を破って優勝という歴史的快挙を成し遂げた。
メーカーシェア
2014ブラジルW杯出場32ヶ国のメーカーシェア
NIKE(10)
ブラジル・イングランド・オランダ・ポルトガル・フランス・クロアチア・ギリシャ・アメリカ・オーストラリア・韓国
adidas(9)
アルゼンチン・コロンビア・ドイツ・ロシア・スペイン・ボスニア・ヘルツェゴビナ・日本・メキシコ・ナイジェリア
PUMA(8)
チリ・ウルグアイ・イタリア・スイス・コートジボワール・カメルーン・アルジェリア・ガーナ
marathon(1)
エクアドル
BURRDA(1)
ベルギー
uhlsport(1)
イラン
lotto(1)
コスタリカ
Joma(1)
ホンジュラス
※第7回の「2018年ロシアW杯編」は、6月13日に公開。