「被爆資料を文化財に」 長崎市、指定や登録目指し協議へ

 長崎市の田上富久市長は12日、長崎原爆の「被爆資料」について、文化財への指定や登録を目指し所管の文化庁と協議を進める意向を示した。市によると、これまで広島、長崎の被爆資料が文化財になった例はないという。
 永尾春文議員(公明)の質問に答えた。田上市長は、原爆投下時刻の11時2分を指した柱時計などを被爆資料の例に挙げ「分類としては有形文化財の歴史資料に該当すると考えられる」と言及。今後、歴史的な価値を明確にする必要があるとし「資料の分類や評価について文化庁と協議を行っていく」と述べた。
 市によると、市の被爆資料は原爆の被害にあった衣類や瓦など約2万点。長崎原爆資料館で所蔵しているが、被爆から73年目を迎え経年劣化が問題になっている。文化財への指定や登録で、国の技術、財政的な支援の拡充を図る考え。市は今後、文化庁との協議の場を調整、指導を受けながら被爆資料の検証を進めていくという。

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