パンケーキ症候群 材料の粉にダニ繁殖

ダニが混入し、大量に繁殖した粉製品で作った食品を食べて、アナフィラキシーショックを起こす「パンケーキ症候群」が県内でも報告されている

 開封したまま長期間過ぎた粉製品を食材に使ってはいませんか。大量に繁殖したダニが原因となって、重篤なアレルギー症状を起こす場合があります。「パンケーキ症候群」と呼ばれ、食品の保管には注意が必要です。熊本地域医療センターの西奈津子・小児アレルギー科医長(日本アレルギー学会専門医)に聞きました。(高本文明)

 -パンケーキ症候群とは、どんな疾患なのでしょうか。

 「粉中に大繁殖した大量のダニを摂取することでアレルギー症状を引き起こすことをいいます。強いアレルギー(アナフィラキシー)を起こすこともあります。主にパンケーキやお好み焼きなどに使うミックス粉製品に混入しやすいので、パンケーキ症候群といわれています。1993年に米国で報告され、国内では96年に熊本で初めて症例が報告されました」

 -アナフィラキシーとは何ですか。

 「アレルゲンが体に侵入することにより、複数の臓器に全身性にアレルギー症状が起こることです。症状は蕁麻疹[じんましん]や咳、鼻水、嘔吐[おうと]などさまざまです。特に重症なものをアナフィラキシーショックといい、蕁麻疹などの症状に加えて血圧低下や意識障害を伴う場合で、命に関わる緊急事態となります」

 -小麦アレルギーとの見分け方はありますか。

 「小麦製品を食べて症状が出現することが多いので、最初は小麦アレルギーが疑われることも多いと思われます。パンケーキ症候群の場合は、これまでに小麦粉製品を日常的に食べることができています。加えて、血液検査・皮膚テストなどのアレルギー検査を行うと、小麦は陰性で、ダニが陽性になります。疑義食品が残っていれば、ダニ混入の有無を顕微鏡で確認することも診断につながります」

 -どれぐらいダニが混入していたら症状が出ますか。

 「症状を誘発する粉中のダニ数は粉1グラムあたり50~5万2200匹と報告されています。ホットケーキ1枚中には数千~数十万匹のダニが存在することになります。部屋のほこりなど日常的にさらされる程度のダニとは比べものにならないほどの量を、一度に大量に体内に取り込むので、強いアレルギーの症状が出てしまうのです。実際、顕微鏡で確認すると、粉中にダニがうようよ見つかりますが、目で見てもまず分かりません」

 -ホットケーキのように加熱されていても、混入、繁殖したダニがアレルギーの原因となるのですか。

 「ダニが繁殖した食品を加熱してもアレルギー症状を避けることはできません。また、ダニ本体だけでなく、死骸やふんもアレルゲンになります」

 -小麦粉やミックス粉などの取り扱いは、どうしたらいいですか。

 「開封した粉製品は、常温で保存するのではなく、冷蔵庫に保管しましょう。冷凍庫でしたらさらに繁殖は抑えられると思います。また、放置期間が半年以上経過すると、ダニが急激に増殖してきます。粉製品を早めに使い切ることも大切です」

 -チャック式ビニール袋などで密封したらダニの侵入を防ぐことができますか。

 「密封した状態でダニが入り込むことはありませんが、チャックの縁に潜んで袋が開くのを待っていることがあります。数匹でもいったん入り込んで、温度や湿度などの条件がそろえば、ダニは繁殖を繰り返して増えてしまいます。完全に侵入を防ぐことは困難なので、やはり冷蔵庫に保管して、ダニが入り込んでも増殖しないように対策を取ることが大切でしょう」

(2018年6月13日付 熊本日日新聞夕刊掲載)

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