JFE鋼材の東京事業所、新工程管理システムが稼働 素材入荷から製品出荷までデータで追跡可能に

 JFE鋼材(本社・東京都中央区八丁堀、社長・石原慶明氏)は、素材が入荷されてから切板を加工し、製品出荷するまでのすべての工程をデータで追跡でき、その際の在庫(置場)の管理や配替え指示、構内での加工設備への搬送指示までもデータ上で把握できる独自の「データトラッキングシステム」を完成させた。厚板溶断事業の主力工場である東京事業所(千葉県市川市塩浜)で運用を開始。成果を見極めながら拠点展開していく。

 入荷した溶断母材を、まずはあらかじめ「番地付け」された任意の材料ヤードに保管する。その母材が、次工程でいつ、どの加工設備で切断処理されるかによって、その順番に合わせて当該設備に送られる仕組みだ。

 これら母材の入庫から在庫管理、配替え、ガスやプラズマやレーザといった加工設備への搬送を、すべてデータに組み込み、上位システムと連携させて工場内に設置したクレーン端末や設備端末などにリアルタイムに表示。これら現場端末には、納期の優先順位ごとに必要な情報がすべて表示される。

 指示どおり工程を終えれば「完了」して次工程に送られる。万一、オーダーなどの工程変更が生じた場合は「保留」とし、次の指示を待つ。

 こうした「入り」から「出」までをデータ化し、この間、人手を介入せずにシステム上で自動送りされるのでヒューマンエラーが発生するリスクも軽減した。

 今回のシステムは、JFE系のJFEテクノスとエクサを採用し、それぞれ「クレーンオペガイシステム」と「加工トラッキングシステム」として設計・開発した。

 JFE鋼材では、本システムを有効活用し、構内物流を最適化・効率化して時短につなげる。また、本システムによってトレーサビリティー(履歴管理)が徹底されることから、そのメリットを生かして材料仕入れ先(JFEスチール)と切板納入先(ファブリケータ)の理解のもとトータル工期短縮を実現し、歩留まり向上につなげていきたい考えだ。このため、東京事業所での運用成果を高めつつ、今後は全拠点展開を検討していく。

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