【新日鉄住金グループ企業の〝今〟(30)】〈日鉄住金工材〉顧客視点で新たな価値創造

チタン製電着ドラムの最大手

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 日鉄住金工材は電気自動車(EV)のリチウムイオン電池用銅箔製造に不可欠なチタン製電着ドラムで世界シェア70%(同社予測・累計値)、日本シェア100%のトップメーカーだ。売上比率は電着ドラムが60%、外観・寸法精度に優れたステンレスコールドフラットバーは30%、チタン・特殊ステンレス製溶接鋼管が10%。

 1947年新潟県直江津でステンレス工材社として創業。62年に日本ステンレス工材に商号変更。発展の転機は72年世界初の電解銅箔用チタン製電着ドラムの製造・販売だった。2012年日鉄住金工材に商号変更した。

 創業からの軌跡は大きく三つに区分される。創業~2000年ごろまでは基盤強化、規模拡張期。2000~12年は選択と集中期。石川社長が就任した12年10月~現在までが経営体質強化、経営品質向上期。

 石川社長が主導した経営体質強化策が実り5年で売上が倍増。主力の電着ドラムは技術力、品質、アフターサービスが抜きんでている。EVの普及に伴うリチウムイオン電池(銅箔)の増産でフル操業。今年度は12年度比で生産能力、要員ともに20%増加し、20年に向けさらに20%の生産能力拡大を検討中だ。溶接部が最高品質の「次世代電着ドラム」を今春から販売開始し、ブランド化を進める。

 石川社長は「電着ドラムは増産に取り組み、安定供給を維持。省合金型二相ステンレス鋼コールドフラットバーの市場開拓を進める。それに続く第三の柱を特別チームが探索中」と今後の展望を語る。

 石川社長が心血を注ぐ経営革新活動。「社員の幸せ、顧客本位、収益力向上」の三つを同時に実現する〝トライアスロン経営〟を掲げる。それを実現するための「働き方改革」、「経営体質強化」、「経営品質向上」が3本柱。

 働き方改革はストーリー性を重視。(1)風土・職場改革は「人・製品・顧客と地域」が輝く「かがやきサイクル」に基づき「幸せ円グラフ」等で協働・サポート意識を高めた。

 段階的に(2)業務改革(経営体質強化活動)(3)時短仕組み改革(4)休暇の質向上―を推進。

 諸活動の結果、年間平均残業は10時間、有給取得日数は同18日、男性の育児休業取得は100%を達成した。

 経営体質強化は、理想と現状のギャップから課題を「戦略課題大工程表」にまとめ全社で連携し実現を図る。「見える化」ではプロセス毎に品質・コスト・生産性の課題を抽出し測定・分析・改善のサイクルを回す。「かがやきカード」でイノベーション提案を募り〝実験計画法〟で最適解を見つける。

 経営品質活動では顧客の成長戦略と自社の取り組みを親和させ、互いが知らない「未見」ゾーンは共同探究し、世界初、国内初の製品を開発する。

 経営革新の成果は収益面にも表れる。「ROS10%、ROE15%の継続を目指している」と石川社長。

 社会的な評価にも結実し17年厚労省ユースエール企業認定、同年社員が現代の名工に選定。18年同省働きやすく生産性の高い企業・優秀賞、同年新潟県経営品質賞知事賞を受賞(13年ぶりに授与の快挙)。「全社員が顧客視点を持ちベクトルを合わせ新たな価値創造に挑む」(石川社長)。(このシリーズは毎週水曜日に掲載します)

 企業概要

 ▽本社=新潟県上越市

 ▽資本金=3億2千万円(新日鉄住金の出資比率72%)

 ▽社長=石川昌弘氏

 ▽売上高=39億3700万円(18年3月期)

 ▽主力事業=電解銅箔製造用電着ドラムをはじめとする産業機器製品、ステンレスコールドフラットバー、チタンや特殊ステンレス製溶接鋼管の製造販売

 ▽従業員数=105人(18年4月1日現在)