新構造材料技術研究組合、マグネ合金製鉄道車両構体を試作 NEDO、非鉄メーカーなど技術結集

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や金属メーカーなどで組織する新構造材料技術研究組合は12日、軽量なマグネ合金製の高速鉄道車両構体を試作したと発表した。非鉄金属・車両メーカーなどがノウハウを結集。合金や部材、接合・表面処理技術などを鉄道に最適化して試作した。マグネシウム合金の鉄道構体への適用可能性が実証された。

 試作品は新幹線車両と同一の断面サイズで、難燃性マグネシウム合金のみを使った世界最大級の大型構造物。押出材や圧延材で構成されている。一般的なアルミ製と比べて3割程度軽く、重量は約240キロ。実用化すれば鉄道の高速化・省エネ化に貢献する。現在は長さ1メートルの部分構体だが今後はさらに長い構体を試作し、トンネルを通過する際の気圧変化への耐久性などを検証。さまざまな技術的課題をクリアし、22年度をめどに鉄道会社に提案できる状況を整える。

 開発はNEDOの委託事業「革新的新構造材料等研究開発」の一環で、省エネに向けた輸送機器の抜本的な軽量化を図るプロジェクトとして実施。試作品の屋根や側面部分に使用される押出性に優れた高速押出材は三協立山と長岡技術科学大学、物質・材料研究機構が担当。底面部分の高強度押出材は不二ライトメタルと産業技術総合研究所、戸畑製作所が手掛けた。

 また、底面部分の高強度な薄板は住友電工と長岡技術科学大学が、中板・厚板は権田金属工業と産総研がそれぞれ開発した。溶接材料は木ノ本伸線が担当している。

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