銅継手の神陽金属工業、商船向けに海外製も提案 コスト重視のニーズに対応

 銅合金製舶用継手メーカーの神陽金属工業(本社・埼玉県川口市、社長・山本有祐氏)は一般商船向けで海外製品の提案を始めている。品質を求める先には自社製品を供給。コスト性を重要視する一部需要に、パートナー契約を結んだ韓国企業の製品を納めて対応している。韓国品は品質を全数確認。精度を高めて出荷している。幅広いニーズに応え、収益を維持することが狙い。

 ここ数年為替や銅価が変動する中で、一般商船向けでは安価な海外品を使用する動きが拡大。一方で海外品は品質面で課題も多く、顧客である造船メーカーからは価格と品質の両立が求められていた。同社では需要の海外流出や価格競争の激化の中でも、培ってきた技術力で事業を継続するため韓国品の品質を改善しながら提案している。

 製品を日本市場に適した品質水準にするため、同社が持つモノづくりの知見を活用。パートナー企業の工場に訪問し品質面などで助言している。また輸入した製品は川口市の工場で全数をチェック・選別。形状の修正やバリ取りなど、さまざまな手直しをする。山本社長は「神陽金属工業の製品に準ずるレベルを維持させて出荷している」と話している。

 対象製品は同社が手掛けていない一部サイズのものが多く、韓国品の提案はラインアップの強化による顧客メリットにもつながる。一般商船以外の分野については、引き続き高品位な自社製品に特化した供給を続ける。

 同社は1959年創業。銅や黄銅、銅ニッケル合金など舶用のさまざまな銅製継手を製造しており、自社内で溶解鋳造から手掛ける製品もある。資本金は1千万円で従業員数は30人となっている。

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