最貧国の子どもにワクチンを 「命救い社会基盤充実」 接種推進組織の北島さんが熊本市で講演

熊本大の「HIGOプログラムセミナー」で話すGaviワクチンアライアンス上級マネジャーの北島千佳さん=熊本市
アフリカのコンゴで、ポリオ不活化ワクチンの接種を受ける子ども(Gavi/2015/PhilMoore)

 世界では現在、約1900万人の子どもが感染症予防のワクチンを接種されず、毎年約150万人がロタウイルスや肺炎球菌、百日ぜきなど「ワクチンで予防できる疾患」で命を落としている。最貧国で子どもへのワクチン接種を推進する国際組織「Gavi[ギャビ]ワクチンアライアンス」(本部・ジュネーブ)上級マネジャーの北島千佳さん(51)=熊本県菊陽町出身=が5月末、熊本市中央区の熊本大医学部で講演。「貧しい国の子どもを守る活動を知ってほしい」と呼び掛けた。

 Gaviは2000年の世界経済フォーラム(ダボス会議)で発足。日本や欧米が出資し、世界保健機関(WHO)や世界銀行のほかNGOや製薬会社などが参加している。

費用対効果

 支援対象は国民所得が最も低い国々で、現在アフリカ、アジアなど73カ国に上る。各国にジフテリア、百日ぜきなどの5種混合ワクチンや髄膜炎、麻疹[ましん](はしか)など12種類のワクチンを供給。16年までに接種した子どもは6億4千万人で、Gaviによると、900万人の子どもの命が救われたという。

 北島さんはこの意義を「費用対効果」の観点で説明。「ワクチン接種で子どもが健康に育てば、その国の社会基盤も次第に充実する。1ドルの投資効果で比べると、公共事業が3倍になるのに対し、ワクチンは18倍の効果がある」と話した。

 北島さんの主な仕事は、日本と韓国での資金調達に加え、支援を受ける各国のワクチン需要をまとめて製薬会社と交渉し、ワクチンを低価格で供給すること。ワクチンが必要な子どもへの接種費用はアメリカで1人当たり950ドル(10万円超)だが、Gaviはその4%に満たない金額で調達しているという。

官民が連携

 Gaviはワクチン資金を民間の金融市場からも調達。日本でも以前「ワクチン債」と呼ばれる債券が一般投資家向けに売り出されたこともある。「官民が連携し、さまざまな形で資金を集めて子どもたちの命を助けていることをぜひ理解してほしい」と北島さんは強調した。

 北島さんの講演は医学、薬学の専門知識を持ち世界で活躍するリーダー育成を目指す「HIGO(ヒゴ)プログラム」の一環で、修士・博士課程在籍の大学院生らが聞いた。(伴哲司)

(2018年6月14日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

©株式会社熊本日日新聞社

熊本地震 あの時何が

忘れてはならない記憶と教訓が一冊に。 熊日記者が詳細に掘り起こした連載「熊本地震 あの時何が」から17編計158回の記事をまとめ、書籍化しました。

ご購入はこちらから

コンテンツの閲覧を続けるには、ノアドット株式会社が別途「プライバシーポリシー」に定めるお客様の「アクセスデータ」を取得し、利用することを含む「nor.利用規約」に同意する必要があります。