土木学会が試算、公共インフラ対策で4割減額可能

「南海トラフ地震」の経済被害1240兆円

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 土木学会はこのほど、「国難をもたらす巨大災害対策についての技術検討報告書」をまとめた。検討対象は首都直下地震、南海トラフ地震、三大湾の巨大高潮及び三大都市圏の巨大洪水で、中でも南海トラフ地震の経済被害は20年間の累計で1240兆円とまさに国難級の被害となる試算となった。ただ、公共インフラ投資の実施により41%減災できるとしており、公共インフラ対策の重要性が改めて浮き彫りとなった。

 推計によるとその他の地震・津波の経済被害は首都直下地震が731兆円(20年累計)。高潮・洪水は14カ月累計で東京湾巨大高潮が46兆円、大阪湾巨大高潮が65兆円、伊勢湾巨大高潮が9兆円、東京荒川巨大洪水が26兆円、大阪淀川巨大洪水が7兆円、名古屋庄内川等巨大洪水が12兆円といずれも甚大な被害が想定された。

 一方で堤防や道路など公的なインフラストラクチャーの整備の推進によって経済被害を3分の1から6割程度減額できると強調。南海トラフ地震の減災額は509兆円(減災率41%)で対策にかかる事業費は道路、港湾、漁港、海岸堤防、建築物耐震強化など約38兆円以上と試算。また、首都直下地震の減災額は247兆円(同34%)で事業費は10兆円以上となる。

 また、東京湾巨大高潮は減災額27兆円(同59%)で事業費は海岸堤防に2千億円、大阪湾巨大高潮は35兆円(同54%)で事業費は5千億円、伊勢湾巨大高潮は3兆円(同33%)で事業費は6千億円。東京荒川巨大洪水は減災額26兆円、大阪淀川巨大洪水は7兆円で減災率はいずれも100%、名古屋庄内川等巨大洪水は8兆円で減災率は66%。洪水対策は河川インフラ整備で3件合計9兆円とする。

 学会ではさらなる被害軽減のため地方部における交通インフラ投資を始めとした東京一極集中緩和策の展開が求められているほかより防災機能を重視したインフラ整備の必要性を示した。さらに、災害発生時までに各対策を終えるためには災害発生確率を踏まえ15年程度で完了することが必要としている。