<旅するスマホ3>旅の命綱にスマホを選んだわけ、持ったのは ~モスクワ到着予定は6月11日~

 さいたま市のウェブ制作会社に勤務するヨウスケ(35)が、スマートフォンを頼りに、2カ月かけてユーラシア大陸を陸路で横断。徒歩で800kmの「スペインのサンティアゴ巡礼道フランス人の道」に挑戦し、最終目的地モロッコを目指します。ウェブディレクターならではの視点で、世界のIT状況や、現地の人々との交流をレポートしていきます。

 6月6日、目が覚め廊下に出ると、昨日少し話したインド人医師のクマール(45)が給湯器の前でコーヒーを飲んでいた。彼は、自分がハバロフスクに23年住んでいる内科医で、3人の娘がいることや、7か国語も話せること、ロシアは9月から3月まで雪が降っていることや、町ごとに人の性格が違うこと、イルクーツクがお薦めの場所であることなどを教えてくれた。途中から韓国人女性アニータも加わり話し込んでいたら、気が付けばハバロフスクに着いていた。

 ハバロフスクで30分停車。停車中だけWi-Fiが繋がることが分かり、慌てて調べごとやメールをしていたら、あっという間に発車してしまった。

 車窓からの景色は本当に素晴らしい。ずっと続く似た景色の中に廃墟や家屋。たまに行き交う列車、線路を点検している人。僕は景色をずっと眺めていた。

 この旅の最大の目的、メインイベントは「スペインのサンティアゴ巡礼道フランス人の道(以下、スペイン巡礼の道)」。ずいぶん前から、いつか四国のお遍路に行きたいとは思っていた。数年前に四国を周ってきた友人から、スペイン巡礼もいいらしいと聞き、行きづらそうなスペインを先にしようと思ったのがきっかけだった。

 僕も社会人10年以上だし、2カ月休むことを簡単には考えてはいなかった。半年以上前に会社の上司に、相談のような報告のような打ち明け話のような、そんな話をした。驚かれ、困らせてしまったが、快く送り出してくれた上司や同僚に心から感謝をしている。

 午後1時、Obluch’e駅。15分停車だが、多くの人が気晴らしに外に出てきた。フェリーで言葉を交わした、仙台に住む日本人女性の花田さん(47)をObluch’e駅のホームで見つけた。彼女は、イルクーツク、サンラスクへ行くそうだ。サンラスクではサッカーワールドカップロシア大会、19日の日本対コロンビア戦を観戦するとのこと。

 聞けば花田さんは、15年前にスペイン巡礼の道を歩いたらしい。頭を丸坊主にして。僕の先輩だった。「世界中旅したけど(スペイン巡礼が)一番印象に残っているよ」と。

 彼女からは良い情報を得た。巡礼の出発地点から重い荷物をゴール地点へ送ることができるという。とはいえ、余計な荷物は現時点では何もないのだけれど。

 6日は3153歩、移動距離:約1374km

 6月7日、鉄道での旅も3日目。ロシア初のピロシキを食べたのは、チェスニシェフスク駅だった。1個25ルーブル(44円)。食堂車で朝食セットがオムレツとサンドウィッチにコーヒーがついて450ルーブル(790円)だったから、いかに高いかがわかった。食べたピロシキは、玉ねぎと人参を醤油のような味つけで煮込んだもので、美味しかったが肉が入っていなかったのがちょっと残念だった。

 “旅の命綱”のスマホについてまだ書いてなかった。今回の旅には、『iPhone7 Plus』と『iPad』を持ってきた。両方に、埼玉新聞の公式キャラクター「サイのぶん太くん」シールを貼って。

 両方持ったのは、どちらかを無くした時に「iPhoneを探す」の機能で探したり、機能停止したりできるからだ。ネットワークは、SIMかWi-Fi端末かを悩んだが、iPhoneとiPadをネットに繋げたかったことと、国ごとにSIMを購入して差し替えるのが面倒なのでWi-Fiを選んだ。電源は同部屋のみんなでとり合い状態だ。

 準備という点では、語学に関しては半年ほど前から取り組んできた。北浦和駅西口の英会話グロサリーというスクールに週1回通い、ニンテンドーSwitchのゲームを英語でプレイし、ネットフリックスで外国映画やドラマをよく見た。3月にTOEICを受けてみたら、大学時代より200点ほど高くなっていたので、少なからず効果があったと思っている。

そうそう、大宮の氷川神社のお守りもザックに括り付けてきている。

 「バイコー、バイコー!」と、おじさんが窓を指さしていた。バイカル湖だ。海にしか見えない、とてつもなく大きい湖。調べたら琵琶湖の46倍もあり、埼玉県の面積に匹敵するらしい。

 廊下に立って外を見ていたら、2歳と4歳くらいの女の子が僕の左右で踊り出した。手拍子は先ほどのバイカル湖おじさん。彼と会話にならない会話をしていたら、手招きされて彼の2等室にお邪魔させてもらうことになった。

 オジサンの名は「ヴァシリ」。建設関係の仕事をしているという。夫人のナターシャは、片言の英語と、韓国で働いた経験から韓国語が話せる。娘が3人。長女ヴィカだけ名前を聞けた。ヴァシリは話が通じてないのにずっと喋っている。

 ヴィカとは翻訳アプリでやりとりした。ワールドカップの話になり「HONDA」と、ロシアのチームでもプレーしていた本田圭佑選手の名前が彼女から出てきたので、「金髪の」って返したら「マシンの」って帰ってきた。彼らとの会話は楽しかった。

 7日は2502歩、移動距離:約1201km 8日は1410歩、移動距離:約1519km

《筆者プロフィール》

 ヨウスケ(35)/さいたま市内にあるウェブ制作会社勤務のウェブディレクター。 

 クライアント企業は県内都内の中小企業から上場企業までさまざま。企業担当者とデザイナー、エンジニアを繋いでウェブサイト開設までの全工程を進行するのがおもな仕事。既婚者。趣味は歩くこと

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