能登上布伝承の案内役に 関西出身・小田原さん 得意の語学力生かす

 関西出身の染織型紙彫刻師小田原加容子さん(49)=金沢市=が石川県無形文化財の高級麻織物「能登上布」発信の担い手になろうと、中能登町の能登上布会館で織り方を学んでいる。かすり模様が特徴の素朴な質感と会館で働く女性職人の温かさに引かれ、3月に通い始めた。職人の高齢化が著しく、伝承が課題となる中、語学力を生かして能登上布を広めたいと意気込んでいる。

 小田原さんは大阪市に生まれ、奈良市で育った。生家が繊維業の母と、大学で漆の技術を学んだ父の影響で、幼い頃から織物や美術が好きで、母が普段着にしていた能登上布にも関心があった。

 京都外大卒業後はオーストラリアで働き15年間を過ごした。語学を生かす道に進んだが織物への憧れは尽きず、現地でヨーロッパの手工芸を学んだ。2009年に帰国後は長野県諏訪市に伝わる織物を習い、型紙彫刻の技術も身に付けた。

 現在は染織型紙彫刻師として活動する小田原さんは、昨年10月、金沢に拠点を設けたことを機に今年3月、初めて能登上布会館に足を運んだ。着る人を引き立たせるシンプルな質感と、能登上布への愛にあふれた女性職人に魅了され、本格的に技を習得することを決めた。

 能登上布会館の正谷博館長(81)によると、現在、同会館の職人は50~90代の女性13人で、平均年齢は70代半ばという。昭和初期は140軒以上の織元が営業し、年間最大30万反を生産していたが、現在は羽咋市の1軒のみとなった。

 小田原さんは麻ほど肌なじみがいいものはないとし「日常を豊かにする素材として、能登上布を取り入れてもらえるよう発信していきたい」と話した。

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