遺族の声を病院運営に 群馬大病院・田村病院長インタビュー

 手術死問題を受けた医療安全態勢の向上に取り組む群馬大医学部附属病院(前橋市)の田村遵一病院長は14日までに上毛新聞のインタビューに応じ、「絶えず改善を進め、医療事故を風化させない」と語った。病院独自の医療安全週間(18~22日)に合わせ、遺族の声を病院運営に生かす委員会を設置することも明らかにした。

◎「絶えず改善進める」

 腹腔(ふくくう)鏡や開腹の手術を受けた患者が相次いで死亡した問題の影響で、高度医療を提供する特定機能病院の承認を取り消されて3年。病院は5月末、厚生労働省に再承認を申請した。田村病院長は、改革や遺族対応が進展したとし「(信頼回復に向けた)社会からの要求を満たしつつある」と申請を判断した理由を説明した。

「開かれた病院を目指す」と語る田村病院長=12日午前、群馬大病院

 新設するのは「患者参加型医療推進委員会」。遺族の代表と病院関係者で構成し、医療安全週間に合わせて初会合を開く。田村病院長は、将来的には遺族以外の一般の人にも委員に就いてもらい、病院への提言を受ける場としたい考えを示した。医療安全週間中に遺族が病院職員を対象にした講演も行うという。

 田村病院長は、県内唯一の医師養成機関として「地域への責任を果たしたい」と強調。医療機関への医師派遣の在り方を見直すなどして「日本一、地域医療がうまくいっている県にしたい」と展望した。

 県は特定機能病院の再承認に向けた病院改革を引き続き支援する方針。15日に6回目となる群馬大との再生促進協議会を開く。

◎「開かれた病院に」地域への責任 果たす…一問一答

 「一般の人に開かれ、地域への責任を果たす病院」。群馬大医学部附属病院(前橋市)の田村遵一病院長は、目指す病院像をこう語った。手術死問題に揺れる中でトップに就いて3年。職員負担の増大といった改革のひずみにも言及し、病院運営の在り方を模索し続ける考えを示した。

―特定機能病院の再承認を申請した。
 改革の三つの柱として医療の質・安全学講座、先進医療を管理する先端医療開発センター、地域貢献を担う地域医療研究・教育センターを設置した。運営は順調で、監査委員会などから評価をいただいた。ご遺族に対しては説明会を開き、示談交渉を続けている。改革に終わりはないが、こうした状況を総合的に考えて申請を決めた。すぐ認められるとは思っていない。その過程で直すべき点が分かれば目標になる。

―病院独自の医療安全週間も改革の一つだ。
 今回の医療事故は自分たちの立場を見つめ、改善するきっかけになった。風化させないため、昨年から医療安全週間を設けている。今回はご遺族に協力いただき、幹部職員向けの講演を初めて行う。新たに設置する患者参加型医療推進委員会の委員にも就いていただく。厳しい意見を伺いたい。一般の人に開かれた病院を目指す。

―今後の課題は。
 改革を進める中で職員の負担が増えていることも事実。安全を保ちながら労働時間を減らすため、会議の効率化などに取り組んでいる。他病院と比べ外来対応の時間が長いことも課題。群馬大でなくても受けられる治療はかかりつけ医に診てもらい、外来患者の数を適正化したい。

―地域からの期待も大きい。
 群馬大から医療機関への医師派遣の方法を透明化したい。県や医師会などと、ぐんま地域医療会議を設け、県全体でバランスの取れた医師配置を考えている。地域への責任を果たし、数年後には日本一、地域医療がうまくいっている県にしたい。今回の群馬大病院の問題は群馬の医療のレベルを下げることになり、県民にご迷惑を掛けた。絶対に取り返し、お返ししたいというのが私の思いだ。

◎連携を確認 群馬大と自民県連

 群馬大医学部附属病院(前橋市)で腹腔鏡や開腹の手術を受けた患者が相次いで死亡した問題を巡り、自民党県連所属の国会議員と群馬大の会合が14日、国会内で開かれた。同病院が5月31日に特定機能病院の再承認を申請したことを報告し、両者で連携していくことを確認した。

 群馬大は大学改革や遺族への説明の状況などを報告した。国会議員からは特定機能病院の再承認の日程についての質問や、改革のしわ寄せが現場に及ばないよう配慮を求める声が上がった。

 山本一太県連会長は「いい会合になった。節目ごとに開いていきたい」とし、群馬大の平塚浩士学長は「今回の指摘も取り入れ、取り組んでいきたい」と話した。

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