開成町の地酒復活 瀬戸酒造店38年ぶり新酒 16、17日に試飲イベント

 150年を超す歴史がありながら、経営難で自家醸造を断念していた瀬戸酒造店(神奈川県開成町金井島)で、38年ぶりの新酒が完成した。清らかな地下水で仕込み、瓶詰めやラベル貼りは地域住民も手伝った。16、17の両日には同酒造店の敷地で出来たての酒を楽しむイベントを開き、町の地酒復活をアピールする。

 「水に非常に恵まれている」と同酒造店社長の森隆信さん(46)は話す。

 敷地の地下80メートルからくみ上げた丹沢山系の水は「小さなごみを取るフィルターしか使っていない。ほぼ原水での酒造りは珍しい」という。新酒を試飲した町民からは「町の水の味がすると言われた」ほどだ。

 自然の恵みを受けながらも1980年に自家醸造を中止していた同酒造店に光明が差したのは、東京都内の建設コンサルタント会社の傘下となった昨年4月。今年3月に酒造りを再開し、地元の善意も受けて仕込みを進めてきた。

 「あまりに状態が悪かった」という設備は、杜氏の小林幸雄さん(53)と話し合い、品質を優先して全て刷新。ラベルのデザインはプロのデザイナーが「予算は気にしないでいい」と引き受けてくれた。ふらりと訪ねてきた近所の住民もラベル貼りなどボランティアを買って出てくれた。

 こうして出来上がったのは3銘柄。地元の酒米を使った「酒田錦」、町の花アジサイから抽出した酵母で醸した「あしがり郷月の歌」、森さんが「開成町の水で究極の酒を造りたい」との思いを込めた「セトイチいざ」。いずれも自信作に仕上がった。

 「いろいろな人との出会いがあり、助けられて妥協せずにやってこられた」と森さん。小林さんは「杯が進む酒、封を開けても味が育つ酒を目指した。かなり近づいていると思う」と胸を張る。

 目指すのは、酒造りの先にある「水をテーマにした町北部のブランド化」という。「酒がおいしければ、水もおいしいと思ってもらえる。その水で作った米や野菜も、飲食店の料理もおいしいとストーリーがつながる」と森さん。町内で働く人の収入増に結ぶ「地域活性化の源になる酒が大きな目標」と掲げる。

 16、17日に開催するイベント「日本酒ガーデン~あじさいの章~」は、両日とも午前10時から午後6時まで。新酒の試飲や販売のほか、小田原おでん、酒田錦で漬けたサバの酒干し、仕込み水のかき氷なども売る。入場無料。問い合わせは、同酒造店電話0465(82)0055。販売店一覧はホームページで。

完成した新酒を手にする杜氏の小林さん(左)と社長の森さん =瀬戸酒造店

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