<ほっとタイム>わが家と万感の別れ

解体される商店の看板をしみじみと眺める星さん=12日、福島市栄町

◎福島駅そばの築96年の建物

 JR福島駅東口のすぐそば。ビルの谷間にたたずむ築96年の「星勇作商店」の建物が間もなく取り壊される。「思い出がいっぱい。寂しくなるわね」。長く暮らした星悦子さん(74)がしんみりと語った。

 嫁入りした1968年、商店は駅に果物を卸す問屋として栄えた。家族みんなでミカンの袋詰めをしながら3人の子育てに追われた。忙しくても活気に満ちた日々だった。

 82年に店を畳んだ。東北新幹線開業で、窓越しに果物を売ることができなくなった。その後周辺は開発が進んだが、星さんの住む商店だけが残り、駅前の変貌を静かに見守った。

 再開発話が持ち上がり、一家は建物を手放すことを決めた。近くのマンションに引っ越したのは今年4月16日。翌日、闘病中だった夫の勇さんが亡くなった。

 「最期まで家のことを気に掛けていた。家族が引っ越すまで頑張ってくれたのかな」。しんと静まりかえった建物で、ぽつりとつぶやいた。(福島総局・神田一道)

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河北新報

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