河北春秋(6/15):映画監督大林宣彦さん、詩人谷川俊太郎さん…

 映画監督大林宣彦さん、詩人谷川俊太郎さん、評論家白井佳夫さん、俳優斎藤工さん…。来館した人々のサインがロビーの壁を埋める。赤いシートのこぢんまりした館内は銀幕との距離も近く、映画が一層濃密になった▼仙台市内で39年間、映画ファンから親しまれた「仙台セントラルホール」が今月末閉館する。赤字で親会社やスポンサーが撤退する危機を乗り越え、9年前から地元の合同会社が運営。ロードショーに乗らない話題作、名作の上映が魅力だった▼東日本大震災の後、被災地発の記録映画の上映にも取り組んだ。宮城県南三陸町の集落の被災前後を撮り続けた『願いと揺らぎ』や、広島の被爆者を治療した医師を追った『ヒロシマ、そしてフクシマ』-。筆者も昨年末、力作と出合った▼山田徹監督(34)の『新地町の漁師たち』。福島県の浜の人々が原発事故から再起する姿を5年間撮った。「震災、原発事故は終わらない。東北の映画館として伝えたい」と遠藤瑞知支配人が当時語った▼「上映館を探す中で『震災の映画など、もう見る人はいない』と断られたこともある」と山田監督。作家の思いに共感してくれたのがセントラルホールだった。赤字や老朽化が閉館の理由というが、惜しまれてならない。「さよなら上映」が23日から。(2018.6.15)

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