【MLB】「早く戻ってくれ、オオタニ」―米名物記者も二刀流右腕の早期復帰を“懇願”

エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

ローゼンタール記者が分析「多くはオオタニの復帰によって左右される」

 グレード2の右肘内側側副靱帯損傷で故障者リスト(DL)入りしているエンゼルスの大谷翔平投手。今後の治療方針は約2週間後に再検査を受けてから決まる予定となっており、まだまだ見通しは不透明だ。チームは13日(日本時間14日)のマリナーズ戦に敗れて4連敗。ライバルにスイープ(カード全敗)される厳しい状況となっており、二刀流右腕離脱で空いた穴は大きい。名物記者ケン・ローゼンタール氏は米メディア「ジ・アスレチック」の特集の中で「多くはオオタニの復帰によって左右される」と、大谷の負傷が将来的にもエンゼルスに大きな影響を与える可能性があると指摘している。

 ローゼンタール記者は記事の中で「誰もが答えを欲しがっている。ショウヘイ・オオタニの具体的な復帰の時期に関してだ。つまり、1か月先、1年先、将来起こりうることに対しての見通しとも呼べるものだ」と言及。ただ、靭帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受けるかどうかの決断は、早くとも約2週間後の再検査の結果が出てからになるため、しばらく待つ必要があるとも記している。

 エンゼルスは地区首位のマリナーズに3連敗を喫したことで、ゲーム差は「7.5」まで開いてしまった。ローゼンタール記者は、エンゼルスにとって問題となるのは「チームでのオオタニの並外れて高い重要度」としているが、この4連戦はまさにそれを表す結果に。同記者は「エンゼルスは1試合平均の得点でア・リーグ15チーム中6位だが、彼らの攻撃陣は不安定である」とも厳しく指摘している。

トラウトは2020年終了後にFA濃厚、大谷とはあと1年しかプレーできないかも?

 7日(同8日)に多血小板血漿(PRP)注射と幹細胞注射を受けた大谷。このまま手術を受けずに復帰し、ずっとプレーを続けていければ、それに越したことはない。ただ、手術となれば当然、長期離脱となる。一般的に、トミー・ジョン手術からの復帰には14か月程度を要するとされている。来季を棒に振る可能性もある。エンゼルスにとって、それは痛いとローゼンタール記者は分析する。

「(エース右腕の)リチャーズがFAで退団し、オオタニがトミー・ジョン手術を受けることになれば、2019年のエンゼルスは2人の最高の先発投手を失うことになるといってもいい」

 来季、先発ローテーションは大きな問題を抱えることになるという。さらには、大谷の復帰が2020年になると考えると、同年限りで契約満了となるスーパースターのマイク・トラウトともあと1年しか一緒にプレーできないかもしれないというのだ。世界一を目指す上でも、この2人をできるだけ長く一緒にプレーさせたいところだが……。

「トラウトは29歳でFAとなる。この先、彼は間違いなく勝利を求めることになり、恐らく故郷のニュージャージー州ミルビルにより近い所でプレーすることを望むことになるだろう。仮にトラウトが望む分だけの額を、(エンゼルス)オーナーのアート・モレノが支払うことに前向きであったとしてもだ」

 オフにスクープを連発することで知られる敏腕記者のローゼンタール氏は、トラウトが契約満了でFAとなった後は、ニュージャージー州の近くに本拠地を置くチーム、つまりヤンキースなどが移籍先の有力候補になると予想。エンゼルスから離れる可能性が高いと見ている。

「早く良くなってくれ、ショウヘイ・オオタニ。エンゼルスは君を必要としている」

 最後は“懇願”の文章で記事を締めくくった同記者。ワクワクするエンゼルス、大谷とトラウトが笑顔を弾けさせるエンゼルスを再び見られるのは、いつになるのだろうか。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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