【県内原発の全廃】課題ごとの道筋を探れ(6月15日)

 半世紀を超える本県の原子力の歴史は大きな節目に差し掛かる。東京電力は福島第二原発の4基全ての廃炉を検討する方針を明らかにした。福島第一の6基と合わせ、県内の原発は東日本大震災を契機にした廃炉の道をたどる。

 風評払拭[ふっしょく]や住民帰還などの復興の加速に一定の効果が見込めよう。しかし、着手や完了の時期を明確に見通すには、東電、国、県、立地地域がそれぞれの立場で課題に向き合う必要がある。

 東電は今後、廃炉工程を具体的に検討する。事故を起こした第一は優先度も難度も高い。第一と第二の両面作戦で作業の並行が可能か、それとも、時間差をつけるのか、といった基本的な考え方を早めに示す努力が大切だ。

 経済産業省は、電力会社が原発の廃炉を進めやすくするために電力会社の負担を少なくする電気事業の会計規則を変更した。ただ、東電は第一の廃炉や賠償、除染に当たり、国からさまざまな支援を受けている。厳しい経営が続く上、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働への対応もある。第二の廃炉に充てる資金や人材の確保が欠かせない。

 第一と同じく、第二にも核燃料が保管されている。発電所と周辺地域の防災対策の徹底とともに、核燃料や放射性廃棄物の運び出しの道筋を明らかにしてほしい。

 県や立地地域への影響も予想される。原発の建設や運転に伴い、県にも地元にも東電からの税金、国からの交付金などの収入がある。国の復興関係交付金が年々、減少する見込みの中、廃炉に伴って原発関係の税金や交付金も減り続ける場合には財政運営の見直しを迫られる。廃炉関係の産業が、事故前の原発関連産業と同様に住民の働く場の確保に十分、つながるのかも見極めが必要だ。

 本県は全国有数の発電地域として、明治時代以来、電力の安定供給を支えてきた。2カ所の原発の発電設備量は震災前、日本の原発全体の2割を占めた。原発がなくなっても、火力、水力、再生可能エネルギーによる電力を県外に送る本県の役割は変わらない。新しい火力発電施設の建設も始まった。発電所の立地と地域振興の在り方、国のエネルギー政策との関わり方を改めて探る機会といえよう。

 国は第二の廃炉について「東電が県民の声にしっかりと向き合いながら判断すべき」との見解を示し続けてきた。国が話し合いの前面に出ることを避けたように地元には映った。国は廃炉に伴う立地地域の課題を的確に受け止めるべきだ。(安田信二)

©株式会社福島民報社

コンテンツの閲覧を続けるには、ノアドット株式会社が別途「プライバシーポリシー」に定めるお客様の「アクセスデータ」を取得し、利用することを含む「nor.利用規約」に同意する必要があります。