和菓子の日(6月15日)

 夏目漱石は大の甘党で知られる。作品の中にも菓子好きがうかがえる。「草枕」の一節で羊羹[ようかん]を「あの肌合が滑らかに、緻密に、しかも半透明に光線を受ける具合は、どう見ても一個の美術品だ」と描写した。

 城下町の二本松市は老舗の和菓子店が多い。旧二本松藩が菓子作りに力を入れてきた。幕末には藩命を受けた職人が江戸で修業し、研究を重ねて銘菓と名高い「二本松羊羹」を完成させたといわれる。

 江戸時代から続くという店は、受け継がれた製法を固く守る。「先祖代々続く味を残したい」との思いを胸に、ナラのまきの強い火力で羊羹となる小豆、砂糖、溶かした寒天を練り上げる。明治維新後に藩の剣術指南役から転じた店は、素材にこだわり、味を極めた。昔ながらの手順で飴[あめ]を作る店は、黒砂糖の独特な甘さと香り、滑らかな舌触りが人気を呼んでいる。

 各店が切磋琢磨[せっさたくま]し、新たな工夫を加えて個性的な商品を販売している。あす6月16日は「和菓子の日」に当たる。平安時代の行事に由来し、1979(昭和54)年に全国和菓子協会が定めた。通りを歩き、お気に入りの一軒を探してみよう。口にしたくなる逸品がきっと見つかる。

©株式会社福島民報社

コンテンツの閲覧を続けるには、ノアドット株式会社が別途「プライバシーポリシー」に定めるお客様の「アクセスデータ」を取得し、利用することを含む「nor.利用規約」に同意する必要があります。