<むつ・中間貯蔵施設出資>追及、地元軽視への反発 言質獲得に意味

 青森県むつ市の使用済み核燃料中間貯蔵施設に関西電力が出資するとの報道に対し、宮下宗一郎市長が公開ヒアリングの実施や質問状で事実関係を追及した背景には、地元の意向抜きで事業の内容が変貌し、既成事実化されることへの拒絶がある。施設を巡る一連の動きからは国や青森県を含め、関係各者の思惑も垣間見えた。(むつ支局・勅使河原奨治)

 市にとって、調査に対して国や県、関西電力、リサイクル燃料貯蔵(RFS)などが事実関係を否定するのは織り込み済みだった。回答内容よりも重視したのは「地元の理解なしに事業を進めない」という言質を取ることだった。

 関電がむつ市の中間貯蔵施設に使用済み燃料を搬入するハードルは高い。

 施設を運営するRFSとむつ市が2005年に締結した協定は、東京電力と日本原子力発電の原発から出た使用済み燃料だけを保管する約束。関電がいくらRFSに出資しても施設の利用には結びつかない。

 それでも市が警戒感を解かないのは、国策に翻弄(ほんろう)されてきた下北半島の歴史があるからだ。1960年代のむつ製鉄事業の頓挫、70年代の石油コンビナート建設の中止など、地元を置き去りに国の都合で議論が進んだ。

 RFSに8割出資する東電は福島第1原発事故後、国の機構が株式の5割以上を所有、実質的に国有企業となって経営に国の意向が反映される土壌が整う。

 世耕弘成経済産業相は5日の閣議後会見で「一般論として、各電力事業者が個別に取り組むだけでなく連携協力して取り組むよう要請している」と語り、複数社の相乗りを見据える。

 関電が今年に入ってから相次いで青森市に事業所開設を表明し、三村申吾知事と岩根茂樹社長が協定に調印したことも、市の不安を助長した。

 宮下市長は、原子力施設の立地、運用には地元の合意、自己決定が大前提との原則を強調し「地域をないがしろにする話には、いくらお金を積まれても乗らない。地域が誇りを失ったら、その地域はなくなってしまう」と話した。

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