【非鉄流通のいま】〈伸和商事〉りん青銅棒の在庫充実 スペース拡充へ、社屋建替え検討

 伸和商事(社長・佐々木常吉氏)は、りん青銅やベリリウム銅などを中心とした特殊銅合金棒をメインに扱う専門問屋。旧大塚伸銅所でりん青銅製品の製造に従事した佐々木吉治氏が1964年、現所在地で事業を開始した。

 創業当初は、りん青銅のコイル材も扱っていたが、徐々に棒製品の扱いにシフト。現在は伸銅品の中でも特殊な合金の在庫に特化しており、販売比率はりん青銅棒80%、ベリリウム銅(板・棒)10%、りん青銅板・洋白棒などその他が10%。メインの仕入れ先はりん青銅と洋白が藤井製作所、ベリリウム銅は日本ガイシ、その他伸銅品は大木伸銅となっている。引き合いの9割以上が仲間問屋からで、販売先は東北から関西までエリアが広い。

 在庫量は約45トン。本社の在庫スペースは限られているが、りん青銅棒のラインアップ非常に充実している。在庫サイズは直径0・9~250ミリ。特に細物製品は、需要の軽薄短小化に対応して0・1ミリピッチときめ細かい。「回転率が悪くてもニーズがあれば在庫する」(渡邊公樹取締役営業部長)という方針で、ほかでは見つからない製品を在庫していることから業界内での信頼も厚い。

 目下の課題は、在庫スペースの拡充だ。幅広い在庫を抱える同社だがまとまった量を置けないため、大口需要家への対応が限定されるという問題があった。このジレンマを解消するため、本社の建て替えを検討中。「出荷が見込める製品の在庫量を増やし、顧客対応力を引き上げたい」(同)としている。

 このほか、加工品やヒモ付き顧客への営業強化で事業基盤を強化するという選択肢も検討中。しかし「既存顧客である問屋の商売とかぶってしまうのはタブー。全く新しい分野で考えていくことになる」(同)とする。そうした中で現在進めているのは、RoHS規制をはじめとした環境規制に対応した製品の取り扱い強化。「本格化する前に環境対応りん青銅棒の提案を進めていきたい」(同)考えだ。(遊佐 鉄平)

会社概要

 ▽資本金=2500万円

 ▽所在地=東京都台東区三筋2―10―8

 ▽社長=佐々木常吉氏

 ▽電話番号=03―3866―1917

 ▽主な扱い商品=りん青銅、ベリリウム銅、洋白製品

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