投資で社会課題解決を クラウドファンディング活用

支援先となったメキシコの女性起業家ら(クラウドクレジット提供)
セキュリテ大阪ファンズのホームページ

 国内では貯蓄ではなく投資を啓発する動きが強まり、世界では、国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」への関心が喚起される中、双方を両立させようとする動きが見られる。ネット上で資金を集めるクラウドファンディングの手法を活用し、貧困対策や環境保全といった事業について少額の投資を促し、年利の平均値が7%超といった成果を上げる企業も出ている。

 資産運用の考え方や手法を知りたいとの声を受け、16日に初めて大阪で勉強会「お金の育て方カレッジ」を開くのが、投資型クラウドファンディングサービス運営の「クラウドクレジット」(東京)。ネットを介して、海外で融資を受けたい人と、日本の個人投資家をつなげている。

■新たな金融を

 同社の杉山智行社長は、家計の金が貯蓄にとどまる中、少子高齢化で老後に向けた資産形成の自助努力が必要になっている点を問題視。投資に向かった米英の家計の資産額の伸びは、過去20年、日本の伸びを上回っている上、「成熟した国内市場において従来型の銀行モデルが限界を迎えている」と指摘する。

 少額投資非課税制度(NISA)の長期積立枠「つみたてNISA」などでは、「世界全体のごく一部でお金が回るだけ」と指摘。発展の可能性があっても、新興国などでは資金の貸し手を見つけるのが困難な層がいるのに課題を感じてきた。

 そこで同社は、東欧や中南米、アフリカなどで現地の事業者と連携。SDGsの「貧困削減」「エネルギー問題」などをテーマに融資先を選定している。

 利用者は2万5千人以上で、累計出資金額は約111億円。運用中のファンド数は360本以上で、年利平均値は7・1%。杉山社長は「お金の受け手にとっても出し手にとっても利益につながる金融をしていきたい」と意欲的だ。

■共感を重視

 大阪の事業に一口数万円から投資し、売り上げに応じて分配金が戻る仕組みのクラウドファンディングサイト「セキュリテ大阪ファンズ」を運営しているのは、「ミュージックセキュリティーズ」(東京)。全国各地で同様のサイトを展開し、地場産品を特典として付けているのも特徴だ。

 ファンドの審査で評価軸の一つにしているのがSDGs。「事業に共感しながら投資してもらうのを重視した」(同社)。運営する「大阪ファンズ」では、海外のコーヒー豆の生産者支援につながる事業や、産業廃棄物の活用を掲げた事業などが展開されてきた。元本を下回るケースはあるものの、新たな発想の鉛筆削り器製作では、同社で全国最高の177・6%の償還率に達した。

 杉山章子取締役は「一口に込めた個人の思いが、社会の課題解決につながっていけば」と期待を寄せている。

©株式会社新日本海新聞社

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