いかの塩辛の無料サービス休止 福岡の天ぷら専門店「ひらお」 スルメイカの歴史的不漁が打撃 [福岡県]

 福岡都市圏で天ぷら専門店「天麩羅処ひらお」を展開する「ひらお」(福岡市)が、来店客に提供していた自家製「いかの塩辛」の無料サービスを休止していることが分かった。原材料となるスルメイカの記録的な不漁が続いているためで、各店舗やインターネットで行っていた販売も休止。行列ができる人気店の名物サービスに不漁が影を落とす格好となり、ファンに落胆の声が広がっている。

 同社によると、塩辛の無料提供や販売の休止は今月6日から、福岡市博多区の本店や同市中央区の大名店など全6店舗で一斉実施。休止期間はあくまで「当分の間」とし、イカの漁獲高が回復次第、再開する方針だが、長期化を心配する声も根強いようだ。

 農林水産省の統計では、スルメイカの漁獲量は1996年に40万トンを超えていたが、その後は減少傾向が続き、2016年に過去最低の7万トンにまで激減。17年は前年比13・1%減の6万1千トンにとどまり、2年連続で過去最低を更新した。水産庁によると、産卵場所となる東シナ海の水温が変化し、イカの成長に影響を及ぼしている可能性が指摘される一方、日本海の排他的経済水域(EEZ)内での北朝鮮船などによる違法操業が一因との見方もあるという。

 「歴史的」ともいわれる不漁でスルメイカの価格が高騰し、同社は4月下旬、販売用塩辛の容量を約2割減らして価格を据え置く実質値上げでしのいだ。ところが流通が縮小し、無料提供分を含め「毎日600キロ以上」(6店舗合計)という必要入荷量を確保できなくなり、塩辛の製造・販売・サービスの休止に踏み切ったという。

 ひらおは1978年創業。定番「天ぷら定食」(魚や野菜など7品、ご飯・みそ汁付き。770円)をはじめ、ボリューム感がある割に値段が手頃なメニューがそろい、塩辛は食べ放題。福岡の「ソウルフード」として庶民に愛されており、6月中旬、常連の会社員男性(39)は「塩辛があれば天ぷらを食べる勢いがつき、なくてはならない名脇役。早く復活してほしい」と話していた。

=2018/06/15 西日本新聞=

福岡都心部にある天ぷら専門店「ひらお」の店舗。スルメイカの記録的な不漁の影響で名物「いかの塩辛」の無料サービスを休止中でも、昼時に訪れると店の前に行列ができ、店内は混み合っていた=6月14日正午すぎ、福岡市中央区の「天麩羅処ひらお大名店」
「いかの塩辛」の無料サービスや販売の一時休止を告知する看板が入り口に掲示された「ひらお」の店舗=福岡市中央区

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