「溶接マイスター」制度、日本溶接協会が導入へ 19年度めど、教育活動に参画

 日本溶接協会の粟飯原周二会長(東大院教授)は13日夕、定時総会後に会見し、2019年度をめどに「溶接マイスター」制度を導入することを明らかにした。卓越した溶接・接合技術をもつ熟練の技能者を顕彰するとともに、人材育成と社会貢献の一環で協会の教育活動に参画してもらう。

 「溶接マイスター」をめぐっては、初年度に全国9地区で推せんを受けた対象者から約20人の選抜を想定。高校生をはじめ協会が各地で実施する教育プログラムに講師として派遣する。今後、マイスターの運用に向けて具体的な制度設計に当たる。

 建設分野で技能者や管理者の不足が顕在化する中、溶接業界でも有資格者の確保が課題になっている。協会によると、昨年度の受検者数は技能者が11万173人、管理者が新規で44878人、更新では5980人といずれも世界金融危機以降で最高を記録。一方で技能者の合格率は低下傾向にあり、溶接協会では昨年度から技能資格の取得可能なレベルに焦点を当て、これまでの溶接管理者に続き、溶接技能者の学科・実技教育に乗り出している。

 会見で粟飯原会長は建築鉄骨を中心に堅調な国内需要の現状を踏まえ「受検者の増加傾向はしばらく続く」と指摘。技能者の入職促進やレベルアップに向け、若年層や女性、外国人などを念頭に、引き続きさまざまな施策に取り組む考えを強調した。

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