三菱を襲う「変調」の逆風、スリーダイヤはいつ不振から抜け出すのか?

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 17年11月23日、三菱マテリアルは子会社である三菱電線工業、三菱伸銅、三菱アルミニウムで、検査データ改ざんなどの不正があったと公表した。三菱電線と三菱伸銅は、顧客企業との間で契約した品質基準以下の製品の検査データを、書き換えて出荷してきた。

 三菱電線の基準未達商品は、ゴム素材製の漏水・漏油を防ぐシール材で、寸法等のデータを改ざんしてきた。このシール材は産業機器、自動車や航空機などの幅広い分野で使用される。例えば、自衛隊の航空機や艦船の、エンジンの油圧系統に使われるパッキン等の伸び率を、仕様書の数値を充足するように改ざんが行われていた。

 三菱伸銅は、車載端子や電子機器等に使用される銅製品の硬度や引張り強度のデータを改ざんしていた。

 三菱アルミニウムでも不適合品の出荷があったが、安全性を確認済みであるとして、不正内容は公表しなかった。

 2月8日には、その三菱アルミニウムとアルミ加工の立花金属工業(大阪市)、自動車部品のダイヤメット(新潟市)で、新たに不正が発覚した。3社とも顧客の要求に満たない製品の検査データを書き換えたり、一部検査の不実施などもあった。

 これら各社の親会社である三菱マテリアルは、1990年に三菱金属と三菱鉱業セメントが合併して設立され、銅などの金属、セメント、超硬工具などの加工事業、電子材料など幅広い事業を分担する4つのカンパニーで構成されている。

 三菱電線工業の場合は、17年2月に不正を把握していたが、三菱マテリアルに報告したのは10月に入ってからだった。

 三菱マテリアルは6月8日、同社自体が日本工業規格(JIS)の基準に満たないコンクリート原料を出荷していたと発表した。同社で臨時の品質監査を実施した2月にこの問題を把握し、4月23日にはJISの認証を行う日本品質保証機構に報告してJIS製品としての出荷を停止していたが、何故か公表は6月になって行われた。

 17年11月に、品質データの改ざん問題が発覚して以降、不正が行われた子会社5社が延べ800社以上に問題のある製品を出荷してきたことが明らかになったが、最後は三菱マテリアル本体が締めくくった。

 三菱マテリアルの不祥事に対する不適切な対応が数々指摘されているが、問題が発覚した後も、2月に「臨時品質監査」に着手するまでの間、製造拠点には「書面調査」でお茶を濁していた。ダイヤメットの不正は1月24日に三菱マテリアル社員通報窓口への内部告発で発覚したものだ。ダイヤメットは「書面調査」へ虚偽の報告で済ませたと勘繰られる所以である。

 一連のデータ改ざん問題の起点となった神戸製鋼所に関しては、幅広い事業分野が独自のセグメントを構成し、人材や情報を囲い込む「タコつぼ経営」に問題の一端があると指摘されたが、三菱マテリアルにも全く同じ問題が見られる。銅などの金属と、セメントに、超硬工具などの加工事業、さらには電子材料と4つのカンパニーに分割され、アルミ事業は子会社が担っているため、経営陣が製造現場の実情を把握することが困難である。カンパニーの間で人事交流はほとんど行われず、複合経営を標榜する企業にありがちな、硬直的な縦割り組織も対応を難しくしていた。

 自動車・重工・マテリアル、「スリーダイヤ」の変調はいつまで続くのか?

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