20年大河の明智光秀 「丹波攻め」に地域活性を期待

明智光秀に最後まで抵抗した波多野秀治の忠魂碑=篠山市、高城山(同市提供)

 2020年のNHK大河ドラマの主人公が、戦国武将の明智光秀に決まったことを受け、ゆかりのある兵庫県丹波地域で関連する動きが本格化してきた。篠山、丹波両市の住民が観光振興などに向けた委員会を立ち上げたほか、関係自治体でつくる推進協議会は臨時総会を開き、PR活動のため連携する方針で一致。関係者からは「丹波地域の活性化のために方策を考えたい」「どのような光秀像が描かれるのか楽しみ」といった声が上がっている。

 光秀の生涯を語る上で、黒井城(丹波市春日町)や八上城(篠山市)を攻略した16世紀後半の「丹波攻め」は欠かせない。織田信長に黒井城攻めを命じられた光秀は1575(天正3)年に攻略を試みたが、味方だった八上城主波多野秀治が離反し、敗走した。77年、今度は八上城に進軍。周辺に多くの山城を築き、79年に籠城戦で波多野氏を滅ぼした。この間、黒井城では78年に城主だった荻野(赤井)直正が病死し、光秀は翌79年に攻め落とした。

■地元史見つめ直して

 篠山市内の山城巡りを続ける歴史愛好家の津田博利さん(71)=同市=は「兵庫の丹波地域では光秀は悪役としてとらえられることもあるが、脚光を浴びるのはうれしい」と目を細める。津田さんによると、篠山にある数多くの山城跡のほとんどは光秀ゆかりの場所といい、「各地の住民が地元の歴史を見つめ直すきっかけになれば」と話す。

 同市文化財保護審議会委員の池田正男さん(71)=同市=は地元八上地区で「ふるさと塾」を開催するなど、光秀と八上城跡について住民と共に学んできた。「八上城は確かに滅ぼされた側だが、スポットが当たることは歓迎したい。地域にどのような戦国ドラマがあったのかを考える機会にできれば」と話す。

 篠山、丹波市と京都府内などの計11市町でつくる協議会は2011年から、ポスター制作や署名活動などをしてきたが、ドラマ化決定を受けて臨時総会を開催。オリジナルロゴを新たに作るための予算案を可決して募集を始めたほか、このほどNHKを訪問し「撮影協力など全面的な支援をする」と担当者に伝えた。

 折しも篠山市は17年度、昭和初期建立の波多野秀治の忠魂碑を補修したばかり。5月には同市内の住民らが観光振興などを考える準備委員会を立ち上げた。酒井隆明市長は「近世の篠山城に加え、中世の八上城にも焦点が当たることになる。戦国時代のロマンを描いてもらい、市のPRにつなげたい」と話す。

■光秀VS丹波の赤鬼

 一方の国史跡・黒井城跡は標高356メートルの山城。居城とした戦国武将の直正は、光秀との激闘で「丹波の赤鬼」として武名をとどろかせた。周囲約10キロに及ぶ範囲が巨大なとりでとなり、1579(天正7)年に落城するまで光秀の猛攻を退けた。

 黒井城跡に詳しい郷土史研究家の村上正樹さん(63)=丹波市春日町黒井=は、都からほど近い丹波は戦国時代から重要な拠点だったとする。「織田信長はどうしても丹波を落としたかったはず。光秀との戦いがどう描かれるのか、『悪右衛門』の異名を持つ直正をどんな俳優が演じるのか、見どころは多い」とする。

 山中にはまだ埋もれているとされる遺構も多く、同市教育委員会文化財課は本年度、整備計画を策定する方針だ。「観光への活用と遺構の保存。ドラマ化が決まる前からの計画だが、弾みがつく」と歓迎する。黒井地区の住民らは早速「黒井城跡地域活性化委員会」を立ち上げるといった動きもある。

 丹波市の谷口進一市長は「黒井城は明智光秀に攻められた地としては代表格。面白いドラマになりそうな場面も多いはず」と一押し。「歴史と同時に丹波の里山の風景を紹介してもらえればうれしい」と話している。(安福直剛、金 慶順)

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