外国人サポーターとロシア人女性との関係許されるか

W杯巡り論争

開幕戦が行われるルジニキ競技場前で盛り上がるブラジルサポーター。14日、モスクワ(共同)=写真は記事と直接の関係はありません

 4年に一度のサッカーの世界的祭典、ワールドカップ(W杯)が14日に始まったロシアで、世界各国から集う外国人サポーターや観光客とロシア人女性との性的関係が許されるかどうかを巡り論争が起きている。 

 きっかけは、ロシア下院で家族・女性・児童問題委員長を務めるベテラン議員タマラ・プレトニョワさん(共産党、女性)が13日、ラジオ局「ガバリット・モスクワ(モスクワが話す)」に対して行ったインタビュー。プレトニョワ議員はW杯で多くの外国人男性がロシアを訪れることに触れ、ロシア人女性が性的関係を持ち子供を産んでも「不完全な家族」となってしまうと指摘。ロシア人女性に関係を持たないよう呼びかけた。 

 同議員はさらに「もし(外国人男性が)同じ人種だったらいいけど、別の人種だったらまったく問題」と人種差別ともとられかねない発言を重ねた。同議員によると、1980年のモスクワ五輪でも多くの外国人男性が訪れロシア人女性との間で子どもが生まれたが、その後、母子を残し帰国。「オリンピックの子ども」と呼ばれたこうした子どもたちは、父親のいない家庭環境で「苦しんだ」として、過ちを繰り返さない必要があると訴えた。 

 プレトニョワ議員の発言はロシアのほか、海外のメディアも転載。発言に対するコメントを求められたプーチン大統領のスポークスマン、ペスコフ大統領報道官は大統領府が関与するようなニュースではないとしながらも「(誰と関係を持つかといった問題は)ロシア人女性が自分で決めること。ロシア人女性は世界で最も素晴らしい女性だから」と、こうした意見には与しない考えを伝えた。 

 一方、下院の体育・スポーツ・観光・若者問題委員長を務めるミハイル・デクチャロフ議員(自由民主党、男性)は逆に、ロシア人女性が外国人サポーターや選手と関係を持ち子供を生むべきだと主張。通信社「モスクワ」によると「(外国人との間に生まれた)子どもたちは何年か後に、両親のロマンスがロシアで行われたW杯で始まったことを思い出すことになる。W杯の結果として多くのロマンスが生まれ、外国人との恋愛が育まれ、多数の子供が生まれるのはすばらしいこと」と語った。デクチャロフ議員の発言は、W杯開催を「母国の偉大なイベント」ととらえるロシア社会の世論を背景にしたものとみられる。 

 いずれにしろ、性別・身分・職業・人種などで差別・偏見を招く言葉を使わない「ポリティカル・コレクトネス」が政治家や官僚など公人に厳しく求められている欧米(日本も途上にあるが)と比べ、ロシアはまだまだこうした発言に寛容で、プレトニョワ、デクチャロフ両議員に対し責任を求める声はほとんどない。 (共同通信=太田清)

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太田清

47NEWS編集長

太田清

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共同通信社入社後、広島支局、大阪社会部、外信部、経済部、ベオグラード支局、モスクワ支局、ローマ支局などを経て2016年より現職。

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