民泊新法スタート、沖縄県内の大半が姿消す 法律より厳しい県条例「ハードル高い」

 住宅に旅行客を宿泊させる「民泊」の運営ルールを定めた民泊新法が15日、施行された。8日時点で沖縄県内の届け出件数は130件。無許可の「ヤミ民泊」を含め、3千軒以上あったとされる施設の大半が姿を消した。住居環境の保全として規制を強化する一方、民泊オーナーからは「運営のハードルが高い」との声も出ている。(特報・新崎哲史)

 「お金だけが目的ではないが、規制が厳しくて運営できない」。那覇市与儀の自宅兼アパートで民泊を運営していた30代女性は、諦め顔でこう語る。

 米ニューヨークの大学を卒業後、欧米で流行していた民泊仲介サイトを利用し、世界30数カ国を回った。オーナーからお国自慢を聞き、地元の人が通う食堂に行くのも旅の魅力だった。

 結婚を機に帰省。子育てしながら2013年、両親が所有するアパートの空き部屋3室で民泊を始めた。利用客のほとんどが外国人。「英語を生かせ、自宅で子育てしながら社会とも関われる。子育てする母親には、民泊は魅力的な仕事だった」と振り返る。

 しかし、管理者不在の「ヤミ民泊」による住民トラブルが全国各地で発生。同じ建物に管理者と利用者がいる女性オーナーの民泊ではトラブルはなかったが、違法と気付き、約2年で辞めた。

 連絡を取り合う利用客から撤退を惜しむ声も寄せられ、届け出も考えた。しかし、県条例は住居専用地域や学校周辺での運営日数を法律より厳しくした。女性のアパートでは金、土の2日間しか営業できない。「長期休暇を利用する欧米の旅行者は週末に関係なく訪れる。この規制では実質、運営できない」と残念がる。

 現在は、本島北部で民泊用の物件を探そうかと考えている。「空き室を利用できればいいが、新法や条例は『民泊をさせたくない』という意図しか伝わらない」と感じている。

 民泊オーナーでつくる県民泊観光協会の田中洋人会長は「問題のある民泊を取り締まるのは必要だが、一斉に規制するだけでは多様化する観光ニーズに応えられない」と指摘する。

 旅館業法の許可を得れば営業日数の規制はなくなるが、防火設備などに数百万円単位の投資が必要になる。「人と人との交流が民泊の魅力だが、新法では資金のある企業のビジネスを利するだけ。規制より、個人でも安心安全に運営できるガイドラインを導入すべきだ」と訴えている。

全国でも解禁

 一般住宅に有料で旅行者らを泊める「民泊」を全国で解禁する住宅宿泊事業法(民泊新法)が15日、施行された。従来はホテルや旅館を営業できなかった住宅地でも、都道府県などへの届け出を条件に、年180日までは宿泊サービスの提供が可能になる。

女性が民泊を運営していた部屋。日本時間と宿泊客の国の時間に合わせた時計を並べ、「旅の気分が出る」と好評だったという=那覇市

©株式会社沖縄タイムス社

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